2006年09月「GLOBAL」第54号収録
高血圧は、日本人に最も多い病気です。ほとんど自覚症状がないため「サイレントキラー」といわれ、知らないうちに命を奪ってしまう危険性を秘めています。しかし、食生活をはじめとする生活習慣によって、高血圧を予防し、改善することが可能です。食と高血圧との関係を探ってみました。
高血圧は国民病
| ●図表1 日本人の年齢別血圧の状況(’03年) |
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厚生労働省の調査によると、高血圧と推定される日本人は全国で4,000万人以上。実に日本人の3人に1人は高血圧とされています。高血圧の人の割合は、歳をとるごとに増え、30代で10人に1人、40代で5人に1人、50代で3人に1人、60代以上では2人に1人は高血圧となっています(図表1)。
痛みは身体の異常や危険を知らせるシグナルです。歯が痛くなれば、人はすぐに歯医者を訪れます。沈黙の臓器といえば肝臓が有名ですが、血管も痛みや異常を感じません。高血圧が恐いのは、それ自体にはほとんど自覚症状がないこと。しかし、血圧の高い状態が続くと動脈硬化という血管の老化を促進し、その結果、狭心症、心筋梗塞などの心臓病(心疾患)、あるいは脳出血、脳梗塞などの脳血管疾患、また、腎臓病などの合併症を引き起こすことになっています。
主要死因は循環器疾患
| ●図表2 日米の主要死因の推移(人口10万対) |
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| ●図表3 OECD諸国の虚血性心疾患の死亡率(年齢調整死亡率、2002年、地図は男性) |
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現在、先進諸国で最も多い死因は、心臓発作や脳卒中(脳出血、脳梗塞)のような循環器疾患です。日本では、長い間、脳卒中が最も死亡率の高い病気でしたが、1965年を頂点に1990年にかけて急激に減少し、世界に比べて死亡率の低かった心疾患が、その後も大きく増えることがなく、そのことが日本を世界一の長寿国としました(図表2・図表3)。
しかし、現在も日本人の3大死因はがん、心疾患、脳血管疾患です。死亡率が減ったとはいえ、脳卒中を起こすと半身麻痺や認知症などの後遺症が残り、心疾患もその後の活動を制限します。健康長寿を実現するために、高血圧を予防し、あるいは高い血圧を下げることは重要なのです。
世界の主な死因 がんが死因のトップとなっている日本とフランスを除き、ほとんどの先進国では循環器疾患(心臓発作と脳卒中を含む)が死因のトップで、全死亡数の3分の1から半分を占めている。
世界的に見ると、栄養状態の推移により、死因となる主な病気は、感染症→脳卒中→心疾患となる傾向がある。1950年までの日本で、死因のトップが結核であったように、栄養や衛生面で遅れた国では感染症の死因が多い。次に、もう少し栄養状態が向上した国で脳卒中が多くなる。1951年から30年間、脳卒中が死因のトップだった日本がそうである。さらに、食生活が欧米化した国では心疾患が多くなっている。