脂質異常症

摂取する脂質の種類が重要

●図表6 リポたんぱく質の体内循環
図表
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●図表7 脂質が血清脂質に及ぼす影響
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コレステロールというと悪いイメージがありますが、実際にはコレステロールは、全身の細胞を構成する成分や、ホルモンや胆汁酸の材料となる、人には欠かせない大切な存在です。そのため、血液中のコレステロールを一定に保つために、体内のコレステロールの7~8割は、肝臓で糖質や脂質に含まれる脂肪酸を材料に合成されています。

コレステロールは、肉、魚、卵、乳製品などの動物性食品に多く含まれていますが、体内のコレステロールのうち、食品から摂取する比率は2~3割にすぎません。エネルギー源である糖質や脂質を摂りすぎて余った分は、中性脂肪という形で脂肪細胞に蓄えられるのです(図表6)。

健康診断などでコレステロール値が高い人には、コレステロールの多い卵などの食品を控えるように指導されることがあります。しかし、厚生労働省研究班が卵の摂取頻度や総コレステロール値と、その後の心筋梗塞発症リスクの関係を調べた結果では、卵の摂取量と心筋梗塞の発症リスクに関連はありませんでした。一方、欧米での研究では、魚を食べない人に比べ、週に1~2回食べる人では虚血性心疾患の発症リスクが低いという結果が報告されています。厚生労働省研究班が日本人で調べた結果でも、魚と、魚に豊富な成分であるn-3系脂肪酸のEPAとDHAの摂取は、虚血性心疾患のリスクの低下傾向をはっきり示しました。

以前、コレステロール値を下げるさげることから、リノール酸の多い植物油の摂取を勧められたことがありました。しかし、現在ではリノール酸はLDLコレステロール値とともにHDLコレステロール値も下げることが知られ、リノール酸の過剰摂取は逆に動脈硬化のリスクを高めることが報告されています。そして、動脈硬化や心筋梗塞の予防には、リノール酸などのn-6系脂肪酸と、α-リノレン酸などのn-3系脂肪酸のバランスが重要であることが指摘されています(図表7)。

生活習慣が欧米化して、日本人のコレステロール値も欧米並みに近づいていますが、今でも日本人は欧米に比べて心筋梗塞の発症率が少ないのが特徴です。その理由に挙げられるのが世界の中でも魚を多く食べること。米などの穀類を多く食べるため、炭水化物の摂取が多く、エネルギー摂取量に占める脂肪の割合が低いことです。健康につながるこうした日本の食文化は、失いたくないものです。

参考資料:厚生労働省「平成18年国民健康・栄養調査結果の概要」、日本動脈硬化学会「動脈硬化性疾患予防ガイドライン2007年版」、鈴木吉彦編著「高脂血症は食べて治す!」小学館2004、渡辺孝監修「改訂版コレステロールを下げる特効Book」主婦と生活社2008、大櫛陽一「コレステロールと中性脂肪で薬は飲むな」祥伝社2008、浜崎智仁「コレステロールは高い方が病気にならない」ベスト新書2005、田中秀一『「コレステロール常識」ウソ・ホント』講談社2005、「脂質異常症」最新医学社2008

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