マーケット&テクニカルリサーチ

注目される中国の富裕層

2007年11月「GLOBAL」第58号収録

北京オリンピックがいよいよ来年に迫りました。経済発展を続ける中国では、地域間格差や大気汚染など、数多くの国内問題を抱えてはいるものの、「富裕層」は確実に増加しています。一方、日中関係は今年日中国交正常化35周年を迎えるなど、回復傾向にあり、ビジネス機会もますます増えています。そこで、中国で増加する富裕層がどのような人たちなのかデータで紹介します。

中国の富裕層とはどんな人たちなのか

■図表1 三大成長エリア
図表1
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■図表2 地域別7所得階級別都市部世帯可処分所得(2004年)
図表2
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計画経済時代における中国国民は、全て何らかの「単位」に所属し、給与、医療、教育、住宅、老後の保障といった行政サービスや福利厚生を、「単位」を通じて供給されていました。

鄧小平の主導によって1978年に「改革開放」政策が採用されたのに伴い、1980年代からこの「単位」の枠から抜け出る層(個人経営者や私営企業)が生まれ始め、90年代には沿海部で民営企業の台頭が進みました。それに伴い、市場経済の導入、国営企業の民営化や不採算企業の閉鎖、人民公社の廃止と請負制の実施、外資導入など、経済政策の方針変換による国有企業や政府機関のリストラが盛んになり、大量の人々が「単位」の枠外に移ることになりました。

その後は周知の通り、安い人件費や膨大な人口を背景にした製造業を中心とした輸出中心の産業が大きく成長し、北京圏(北京、天津およびその周辺)、長江デルタ(上海とその周辺)、香港と隣接している珠江デルタ(広東省とその周辺)の三大成長エリアで人口の増加と所得の増大がもたらされました(図表1)。

こうした急速な市場経済化の恩恵を受けたのは、年齢では現在20代後半から40代位までで、文化大革命(1966~76年)の影響を受けなかった世代が中心とされます。改革開放後に高等教育を受け、外資系企業のホワイトカラーや私営企業での高級管理職、あるいは中央・地方の幹部公務員、専門職といった人々で、上昇志向が強く、仕事を通じてより高い地位と収入を求めてきた人が富裕層を形成していきました。

中でも北京、上海における最高収入世帯(10%)の可処分所得は、10万元を超え、それに次ぐ高収入世帯(10%)では7万元前後、中高収入世帯(20%)でも5万元を超えています(図表2)。この年収10万元を超える人々が「富裕層」と呼ばれ、同じく年収5~10万元未満の層が「中産階級層」を形成しています。なお、1元は現在の為替で約15円に相当し、10万元は150万円となるが、物価水準が異なるので日本でいえば年収1,000万円に相当する豊かさを享受していることになります。

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