甘味

砂糖が生み出す日本料理の多彩な味の世界

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●図表4 料理の砂糖濃度
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●図表5 砂糖の多様な効果
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自由水と結合水
砂糖は、まわりの水分を吸収し、取り込んだ水分を離しません。食品中の水分は、自由に動き回れる自由水と、食品中の成分に結合して束縛されている結合水とに分けられます。結合水は蒸発しにくく、微生物が繁殖できません。砂糖を多く使った食品は、この結合水が多くなるため保存性が高く、また乾燥しにくく、いつまでもみずみずしく柔らかい状態を保ちます。

日本料理で砂糖は、甘辛く煮込んだお惣菜や照焼き、三杯酢、すき焼、酢飯など、なくてはならない調味料です。西洋料理では砂糖はあまり使われませんが、お菓子やジャム作りなどには欠かせません。

さまざまな料理で砂糖が使われるのは、単に甘味をつけるのだけが目的ではありません。甘味には、他のどの味とも調和し、多様な味を作り出す性質があるためです。醤油と砂糖の甘辛い味付けは、砂糖の甘味が塩味の刺激を適度に緩和します。甘味と酸味は、お互いの味を緩和させ、穏やかで柔らかい甘さと酸味の味になります。

また、日本料理では表だって甘味を感じさせることなく隠し味として砂糖を使うことで、独特の風味と奥行きを作り出しています。

甘味は、味の強弱の許容範囲が広いことも特長として挙げられます。たとえば、おいしいと感じられる塩分濃度は、すまし汁で0.6~0.8%前後の狭い範囲ですが、砂糖は、隠し味に少量使うものから、3~10%程度の煮物、さらに大量に使う煮豆や餡などまでおいしく食べられます(図表4)。

こうした甘味の特長が調味料としての砂糖の利用価値を高めているのです。

調理における砂糖の多様な効果

砂糖が多くの料理や加工食品に利用されているのは、味だけではなく、砂糖に溶解性・吸水性・保水性・加熱変化など物理的・化学的なさまざまな特性があり、その特性が料理や食品のおいしさに役立っているためでもあります(図表5)。

砂糖の保水性は、腐敗を防止するほか、デンプンの老化防止や油脂の酸化防止にも役立っています。保存食品であるジャムには砂糖は欠かせません。それは防腐効果があるためだけでなく、砂糖が果物中のペクチンをゲル化してゼリー状に固めるからです。

照焼きなどの調理では、砂糖が加熱によってアメ状になって照りができ、おいしそうな焼き色も生み出します。砂糖は加熱によってその状態が変化し、約105℃で粘性を帯びたシロップ状になり、130℃ぐらいからアメ状になり、さらに150℃ぐらいになると褐色にカラメル化します。照焼きなどでは、醤油に含まれるアミノ酸とメイラード反応を起こして、茶褐色の焼き色と香りが醸し出されます。

その他にも砂糖には、イーストの醗酵を促進したり、乳化を促進し泡立ちを保持する働き、たんぱく質の凝固抑制作用など、さまざまな性質があります。これら砂糖独特の性質は、お菓子作りをはじめ、さまざまな食品加工に利用され、食生活に潤いをもたらしています。

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