2002年05月「GLOBAL」第44号収録
2008年01月(再校正してウェブに掲載)
低温貯蔵、なかでも冷凍貯蔵は、食品の栄養や風味を損なうことなく長期間の保存が可能な優れた保存法です。なぜ食品は低温下だと長期間保存することができるようになるのでしょうか。温度低下によって食品にはどのような変化が起きるのでしょうか。
品質を保持する低温貯蔵
| ●図表1 食品の保蔵温度帯 |

 |
果実・野菜、魚介類や畜肉類などの生鮮食品は、そのまま放置しておくとどんどん品質が劣化します。多くの保存方法は食品本来の姿かたち・風味・味・栄養などの変化を伴います。とりわけ青果・食肉・魚介などを本来の状態で長期間保持するのは難しいことです。これを可能にするのが低温下での貯蔵です。
低温を利用した貯蔵には、食品の温度を下げて冷却状態で保存する冷蔵と、さらに温度を下げて食品を凍結した状態で保存する冷凍があります。貯蔵食品の種類や用途によってそれぞれに適した温度帯が利用されています(図表1)。比較的短期間の保存であれば冷蔵、長期の保存なら冷凍が、食品の品質維持に有効です。
品質変化に関わる5つの要因
なぜ低温下では食品の品質の変化を遅らせることができるのでしょうか。
食品の品質変化の要因として、①微生物による作用(腐敗・発酵)、②食品中の酵素による分解などの作用、③酸化などの化学作用、④乾燥などの物理作用、さらに果実・野菜では、⑤呼吸や蒸散など食品自体の生理活性作用、が挙げられます。
酵素や微生物によって食品成分は分解・腐敗し、品質は変化します。また、酸化・乾燥などで食品の風味は損なわれ、栄養価も減少します。果実・野菜は収穫後も呼吸や蒸散を続けています。時間とともにエネルギーや水分を消耗していくため栄養価は低下して見た目もしなびてきます。
冷蔵・冷凍による保存方法では、食品本来の特性はさほど変化させずに酵素や微生物による分解・腐敗を抑制し、酸化・乾燥や生理活性作用への対策も講じることができます。
| 野菜・果物の低温貯蔵 |
| 果実や野菜などの植物性食品は収穫後も呼吸を続けていて、その間養分を消耗しています。呼吸を低下させて生理活性による品質変化を抑え鮮度を維持するには、0℃近辺の低温貯蔵が有効です。キャベツやネギ・ハクサイ・リンゴ・ナシ・カキなどで、2~3か月間貯蔵できます。ただしサツマイモやバナナなど温・熱帯植物では0℃の冷蔵では低温障害で病変を起こしてしまうので、13~15℃で保管されています。 |