油脂

2000年04月「GLOBAL」第42号収録
2008年10月(再校正してウェブに掲載)

マグロのトロや霜降り肉は、脂肪がうまさをかもし出しています。からっと揚がった天ぷらのさくっとした歯ごたえと香ばしい風味は、油を使った調理ならではです。食品中の脂質や調理における油脂は、おいしさにどのように関わっているのでしょうか。油脂が作り出すおいしさの世界を探ってみました。

油と脂

●図表1 各種脂肪の融解点
図表
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●主な食用油脂とそれに含まれる脂肪酸
図表
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脂ののったマグロのトロ。その名のとおり舌の上でとろりととろけるような旨さです。ところが、牛肉をタタキや刺身で生食する場合は、脂肪の少ない赤身の肉が一般的。霜降り肉では脂が口のなかでベタベタしてしまいます。

これは牛の脂が溶ける温度、融点が40~56℃と体温より高く、口に入れても溶けない牛脂が舌触りを損ねるためです。同じ肉でも豚の脂の融点は28~48℃と体温をはさむ温度帯なので、冷たいカツでも、熱で一度溶解した豚脂が舌の上で再び溶けて、おいしく食べることができます。西洋料理のテリーヌやパテ、中国料理の冷菜、常温で食べることの多いハムやソーセージの原料に、牛ではなく豚が多く用いられるのはそのためです(図表1参照)。

ところで、あぶらは「油」とも「脂」とも書きます。一般に常温で液体のものを油、固体のものを脂といい、両方合わせて「油脂」と呼びます。食品や健康に関わる分野では「脂肪」も同じ意味で用いられ、油脂を含めた油性の物質の総称を「脂質」といいます。

食用の油脂には、植物性のもの、動物性のもの、それらを加工した加工油脂があります。植物性油脂は種子・胚芽・果肉から、動物性油脂は動物の脂肪組織・乳から、油脂成分を抽出または分離し、不純物を取り除いて精製したものです。

油脂の主成分は中性脂肪ですが、中性脂肪はさまざまな種類の脂肪酸によって構成されています。脂肪酸はそれぞれ性質が異なります。この脂肪酸の種類や割合が食用油脂によって異なるため、油脂によって液体や固体だったり性質が異なるのです(図表2参照)。


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