さけ加工品でダウンサイジングの効果を実証

2010年2月発行 第64号収録

ニッスイグループではサプライチェーンマネージメント部 (SCM部)を中心に、“物流部門”という従来の枠を超え、“サプライチェーン”という新しい概念で効率化を推進してきました。その結果、環境負荷削減、コストダウンで大きな成果をあげてきました。さらにその効果を広げるためには、企業の枠組みを超えた業界との協働が必要です。
急を要する地球温暖化対策としてもニッスイグループが創出したノウハウは世界的に普及させる価値があります。ニッスイのスタンダードが世界のスタンダードになることが期待されます。

2006年1月、ニッスイ(現日水物流(株))の東京物流センターの冷蔵倉庫にニッスイの経営革新会議タスクフォースメンバー16名がメジャー片手に集まりました。928品目にわたる商品カートン(外箱)の採寸を行うためです。カートンのサイズは、配送効率、包装資材のコストダウン、冷蔵倉庫内のスペースの効率化、ハンドリング(荷扱い)の安全性向上、ゴミの削減、CO2排出削減など、物流のさまざまな面に影響をおよぼします。

この調査を元に、DSプロジェクトチームが誕生しました。DSはダウンサイジングの略です。そしてまず俎上に上がったのが、主力商品であるさけ加工品です。ここで着目されたのが倉庫や輸送時に使用する、荷物を載せるすのこ状の台であるパレットの大きさでした。さけ加工品はチリのニッスイグループ、サルモネス・アンタルティカ(S.A.)社が生産しているものですが、商品が詰め込まれたダンボールのカートンはパレットに積まれ、そのままフォークリフトで冷蔵倉庫に運ばれます。しかし、カートンのサイズとパレットのサイズが合わないため、隙間のある積み方となっていたのです。

■さけ加工品(10kg箱)カートン見直しによる積載効率アップ
チャート図

そこでまず国内外のパレットのサイズを調べ、パレットサイズを最も一般的であった1,000× 1,200mmに想定。このサイズに合理的に積めるようなカートンサイズをはじきだしました。そして、さけ加工品のカートンサイズをDSした結果、10kg箱の場合、従来、1つのパレットで59ケースだった積載数がDS後には63ケースとなり、1 パレット当たり4ケース多く積めるようになりました。

カートンが小さくなったため、緩衝材が不要となり、お客さまにとっても緩衝材を捨てる手間が省けることとなりました。10kg箱の場合、ケースあたり38円の包装資材のコストダウンも実現しました。また、パレット上にカートンを積み上げる際に隙間や突起部分をつくらず、安定した形で積めるようになったため、倉庫内作業の安全性向上にも寄与しました。
 

■さけ加工品の物流
チャート図

チリから日本へ、船でコンテナ輸送する際には、コンテナへの積載量が約10%向上。積載効率アップによるコストダウンとCO2削減につながりました。

2006年1月当時、DSの先頭に立ち推進してきたSCO(サプライチェーン・オフィサー)で後にSCM部長となった現事業推進本部副本部長 酒井久視執行役員は「従来、カートンは個々の商品に合わせて生産工場が独自に発注していたため、商品部門も物流部門も形やサイズは気にもとめてなかったようです。最初、DSの話が出たときも、社内からは使い慣れたカートンを変更する必要はない、といった話も出てきて、変更までは平坦な道のりではありませんでした」と振り返ります。

しかし、部門横断的な組織である経営革新会議タスクフォースが中心となって取り組み、さけ加工品のケースで大きな効果があることが実証されると、DSの取り組みはさまざまな商品に広がっていきました。現在ではカートンだけでなく、商品パッケージも見直しの対象とし、販売数量ベース(水産品を除く商品カテゴリー全体)で85%にDSが浸透しています。

新製品のカートンサイズを決める際には効率的な積載ができるよう、パレットの大きさやトラックの荷台サイズ、船舶のコンテナサイズが入力された設計ソフトも導入。底面積ベースで90%、容積ベースで85%の利用率を目標にカートンの設計が行われています。元来、物流は水産・食品事業を支える基幹部門の一つです。とくにニッスイグループを取り巻くサプライチェーンは距離が長く、時間もかかるため、物流における合理化・効率化は大きな効果があります。