2018年3月期決算及び新中期経営計画

MVIP2017総括(2015年度~2017年度)

中期経営計画MVIP2017

2017年度決算は、売上高6,830億円、営業利益234億円となり、前中期経営計画MVIP2017の目標を達成することができました。

配当については2014年度に復配して以降、毎年増配でき、2017年度は1株8円の配当が可能となりました。

MVIP2017 ニッスイグループの軌跡

MVIP2017での主な取り組みについてご説明します。

水産事業では養殖事業を拡大し、新たに、境港で銀鮭・さばを開始し、完全養殖まぐろも実現しました。養殖用配合飼料事業の中核となる事業会社も設立しました。

また、黒瀬水産では、養殖ブリで世界初のASC認証を取得しました。

食品事業では、欧州に注力し、Caistor社の買収による英国への進出や、フランスのCite Marine社による5工場での増産体制を築き、業績を伸ばしました。

ファインケミカル事業では、茨城県の鹿島に新たに医薬品工場を建設し、海外展開に向けての準備を進めました。

事業の取り組みとともに、健康経営への取り組み等も進めてきました。

事業別売上高の変化(14年実績比)

事業別売上高の、2014年度と2017年度との比較です。
全体では6,384億円から6,830億円と伸長しました。

全事業で増収となりましたが、その中でも食品事業が大幅な増収となっています。

事業別営業利益の変化(14年実績比)

営業利益で、同じく2014年度と2017年度との比較です。
全体では181億円から234億円と大きく伸長しました。

水産事業は、62億円から102億円に伸び、特に南米の鮭鱒養殖事業が大きく伸長しました。

食品事業も75億円から107億円と伸びました。
これは、国内の冷食やチルド食品に加え、ヨーロッパでのチルド食品も順調に伸ばすことができました。

この結果、水産・食品事業で、営業利益全体の8割程度を占めることになりました。

一方、ファインケミカル事業は、政府によるジェネリック促進策の影響や通販事業の伸び悩みもあり、大幅な減益となり、営業利益全体の8%程度に止まりました。

自己資本比率の推移

自己資本比率の推移となります。

この3年間配当を増やしつつ、順調に改善してきました。
自己資本比率は、中計スタート2014年の19.5%から28.4%に改善しましたが、まだまだ低い水準です。

キャッシュフローと資金の使途

キャッシュフローと資金の使途について、中計と実績の比較です。

業績が好調に推移したことにより、3年間の営業キャッシュフローは計画比110億円増加の960億円となりました。
公募増資を実施しましたので合計1,100億円ほどのキャッシュを生み出しました。

この資金を設備投資に充当するとともに株主還元や、借入金の削減に充てることができました。

借入金は中計2,400億円に対し、約360億円削減が進み2,000億円を若干超えるレベルまできました。

新中期経営計画

創業の理念(水道哲学)

ここから新中計についてご説明します。

わたしたちは、「水の水道におけるは、水産物の生産配給における理想である。」の考え方(哲学)を念頭に、事業を進めております。

現在の経営方針はこの理念をもとに、「私たちは、水産資源の持続的利用と地球環境の保全に配慮し、水産物をはじめとした資源から、多様な価値を創造し続け、世界の人々のいきいきとした生活と希望ある未来に貢献します。」としています。

経営方針の概念図

経営方針に従ってCSRを進めて行くため、2016年にはCSR行動宣言を定め、「事業を通じて社会の課題解決に取り組んでいく」こととしました。

新中計はこの考え方に沿って策定しております。

持続的な成長の実現に向けて

新中計の位置づけについて過去の中計との関係でご説明いたします。

前々中計のMVIP2014は、無配から一刻も早く回復すべく緊急再建計画を策定し不採算事業から撤退するなど、事業基盤の再構築に取り組んできました。

前中計は、ニッスイ個別の回復に加え、安定して営業利益200億円稼げる会社になることを目指し、養殖事業の高度化、惣菜型食品・水産食材品の進化・深化などに取組んできました。
おかげ様で業績は過去最高益を更新しつづけることができました。

また、CSRの取組も本格的にスタートしました。

新中計では、事業を通じて社会課題の解決に取り組むことで、企業価値向上を目指すことととしております。

将来は売上高1兆円、営業利益500億円を目指したいと考えております。

新中期経営計画の考え方

新中計の基本的な考え方は、「独自の技術を活かし、持続可能な水産資源から世界の人々に健康をお届けする。」ことといたしました。

他社と差別化できる「独自の技術」を磨き、活かすことで価値を創造し続ける「メーカー」であることを大事にしたいと考えております。

社会課題への取組み(1)

これまでの当社の社会課題への取組みと今後取り組むマテリアリティについてご説明します。

これまでニッスイは、左側に記載した通り、水産タンパクを供給をするため漁獲技術を革新し、さらには魚を無駄なく活用するため食品加工や、魚油を精製しEPAを生産するなど様々な取組みをしてきました。

現在は社会課題は様々あるものの、当社の取り組む課題についてステークホルダーのご意見を伺いながら3つに絞っております。
それが右側の課題で、これらの課題解決に取り組むことは、国連のSDGs(エスディージーズ)にもつながると考えています。

社会課題への取組み(2)

このスライドは、先ほどご説明したニッスイの掲げたマテリアリティが事業とどのようにつながり、それが結果としてSDGs(持続可能な開発目標)とどの様につながっているのかを表したものです。

掲げたマテリアリティが事業とつながり、SDGsが2030年までの目標としている内容とリンクしていくように、2020年までの取組みを策定し、進めてまいります。

例えば、健康志向の高まりなどライフスタイルの変化に対応し、EPAや冷凍野菜など健康に貢献する商品を強化することが、SDGsの目標3「あらゆる年齢のすべての人々の 健康的な生活を確保し、福祉を促進する。」につながるイメージです。

また、養殖の高度化やCSR調達の取組みは、SDGsの目標14「海の豊かさを守ろう」につながっていくと考えております。

新中期経営計画の考え方

MVIP2017では事業境目領域での融合・連携を強化することを進めてきましたが新中計ではこの流れを踏襲しつつ、「新しい価値」をプラスしていきたいと考えております。

事業を通じて社会課題への取り組みを強化することにより企業価値向上に努めてまいりますが、具体的には、

社会課題への取組(CSR)を事業と結び付けながら、
①ライフスタイルの変化に対応
②海外展開
③ひとつ上のステージに向けた将来への取組
を進めます。

また、同時に、事業を支える物流インフラやガバナンスやリスクマネジメントの進化や人材育成など経営基盤も強化していきます。

【新しい価値】ライフスタイルの変化に対応(1)

ライフスタイルの変化には、オーブンに入れるだけで簡単に調理できる下済処理されたチルド食品など、写真のような商品を拡大していきます。

日本に限らず欧米でも社会環境の変化に伴い、食事に求められるものが変わってきております。

時間が限られる中、簡単に調理でき、すぐに食べられる商品や健康でおいしい商品が求められており、水産・食品を問わず、事業構造を転換していきます。

【新しい価値】ライフスタイルの変化に対応(2)

ライフスタイルの変化に対応した加工・生産機能の強化・再編を進めていきます。

成長を続けている国内チルド事業には、引き続き投資を行い、成長基盤の強化を図ります。
国内外とも食品工場の将来を考えて、再構築が必要と考えております。

海外では、フランスでCITE MARINEが 5工場体制となり、生産体制を増強するとともに、アジアでは新しい食品工場の建設を検討しています。

また、水産では、例えばまぐろなど、生産地で加工した商品をお届けする産地加工の比率を上げるとともに、寿司ネタプロジェクトを立ち上げて生食加工の強化にも取り組みます。
おさかなミンチのような水産の持続性を活かした「ニッスイならでは」の加工技術にも磨きをかけていきます。

【新しい価値】海外展開

海外展開については、2020年に向けて、
①食品・水産事業とも、欧州の拡大とアジアへの注力、
②ファインでは医薬原料を展開
に取り組んでいきます。

ヨーロッパではフランスを中心にイギリスの拡大も目指し、アジアではファーストフード向けのマーケット開拓と、和食商材マーケットを創出するためにパートナーの探索を進めて行きます。

ファインについては、グローバルマーケットへの展開の足掛かりをつくるために、鹿島工場のcGMP体制構築と持田製薬様との協働による成長に向けた準備を進めます。

【新しい価値】ひとつ上のステージに向けた取組

中長期の視点で将来の成長のために取り組みます。

例えば、南米以外の海外で養殖事業を展開可能か、昨日リリースしたえび養殖に加え、新たな検討を行ってまいります。

また、新魚種への挑戦も引き続き取り組むとともに、さば、サクラマスの陸上養殖や、完全養殖マダコの研究を進めてまいります。

豪州最大のえび養殖会社に資本参加

オーストラリアのえび養殖会社シーファームに出資することを昨日発表しました。

独占販売権を日本やオーストラリア・ニュージーランドに持つとともに、世界のニッスイのグループ各社の販売網を活かしてえびの販売を拡大したいと考えています。

これまでえび養殖では、生食向けバナメイの国内陸上養殖のフィジビリティスタディに着手しておりますが、これに加え海外養殖事業の拡大に取組む最初の例です。

過去失敗したえび養殖ですが同社と取り組むことでえび事業を白身魚やサケ・マスに次ぐ主要事業へと成長させていきます。

【新しい価値】物流戦略

経営基盤の強化として、各事業と連動した物流体制の構築を進めてまいります。

物流面では、チルド物流が水産・食品ともに注力すべきポイントであり、例えば、水産では養殖魚を鮮度が良い状態でお客様にお届けできるようにしていきます。
また、大阪の物流センターを拡張しセンター型業務への対応や保管キャパの確保、物流品質向上を進めます。

一方、昨今物流費の高騰が課題であり、どう対応するのか、コストダウンをどう進めて行くか早急に検討と対策が必要と考えております。

例えば、シートパレットによる作業負荷の軽減や外箱のダウンサイジングなどの取組みなどです。

【新しい価値】社会課題への取組み(CSR)

事業を通じた活動に加え、新中計では、具体的に次の通り取り組んでまいります。

・持続性に配慮した資源アクセスについては、グループで取り扱う水産物の資源状態を把握し、その持続可能性への配慮など当社の対応状況について適宜発信してまいります。
また調達に関しては「ニッスイグループ調達基本方針」を策定しました。
これに基づきサプライヤーとともに「CSR調達」に取り組んで行きます。

・フードロスへの対応も進めて行きます。自助努力において削減可能な動植物性残渣(+製品廃棄)をフードロスと定義し、削減していきます。
また冷凍食品や常温食品で、賞味期限延長や年月表示などを検討していきます。

・健康経営については、従業員とその家族も健康であることが大事であると考えております。
多様な人材が健康でその能力を発揮できる会社にするため、働き方改革やダイバーシティに取組んでいきたいと考えております。

このような活動が競合との差別化を生み、社会的な信頼を醸成し、収益にも繋がると考えています。

コーポレート・ガバナンスの強化

役員の指名・報酬に関するコーポレート・ガバナンスの強化の取組みを2つ社外発表しましたのでご説明いたします。

まず第一は、取締役会の任意の諮問機関として「指名・報酬委員会」を設置することを決定しました。

今後は、取締役の構成やその選解任ならびに報酬等、社外取締役を委員長として審議してまいります。

第二に、中長期的な業績と企業価値向上を目指すため、新たに自社株報酬制度導入について、株主総会に付議することと致しました。

財務戦略

財務戦略については、営業キャッシュフローと現預金を活用し、3年間で約1,200億円を創出し、「M&A含む成長投資」を行うとともに、「自己資本の充実」、「株主還元」を進めてまいります。

成長投資については900億円程度を、自己資本は事業リスクも考えるとまだ増やす必要があると考えており、2,000億円程度までを想定しています。

株主還元については、本中計期間中は15%~20%の配当性向を考えております。

2020年の事業ポートフォリオ

数値イメージは水産、食品、ファインともに増益計画、全体として利益のパイ  を拡大しつつ、MVIP2017で苦戦したファインの利益構成比を上げていきます。

水産は国内養殖事業、
食品はグローバルで即食・簡便、健康などのニーズに対応、
ファインは医薬原料を中心に利益を伸ばしたいと考えております。

エリアでは、欧州・日本で更なる拡大を目指し、アジアマーケットを開拓していきます。

投資計画

成長する事業への投資は強化します。

減価償却費は570億円程度の中、3年間合計で900億円の投資を考えております。

水産は国内養殖事業の強化、食品はライフスタイルの変化に対応した生産工場の再編を行います。
日本ではチルド事業強化のための新工場建設や、米飯など成長カテゴリーの設備に対する投資や、省力化・省人化への投資を、欧州では冷凍食品・チルド食品の生産能力強化を進め、アジアではタイに工場を検討し、ファストフード対応を強化します。

物流事業は、物流センターを拡張し、物流インフラを強化いたします。

MVIP+(プラス)2020のKPI

前中計から引き続き、ROAを軸とした管理を継続し、経営効率を向上します。

新中計のKPIは、売上高は前中計最終年度比較で730億円増額の7,560億円当期純利益は約50億円増額の220億円を目指します。

2018年度計画

2018年度(中計初年度)の見通し

中計初年度となる2018年度計画です。

売上高は、前期比149億円増収の6,980億円で、食品事業で大幅な増収である一方、水産事業は減収となります。

営業利益は220億円、経常利益は235億円、当期純利益は160億円と、いずれも10億円強の減益の見通しです。

営業利益の増減要因については、次のページでご説明します。

主な営業利益の増減見通し

営業利益の前期比の主な増減要因です。

南米の鮭鱒事業については、前期に発生した稚魚の斃死により水揚数量が減少することに加え、販売価格も下落を見込んでいることから、43億円の大幅な減益となります。

これを国内の水産・ファインケミカル事業や北米事業の増益で賄いますが、南米の鮭鱒事業の影響が大きく、全体としては14億円の減益を見込んでいます。

2018年度計画水産事業

水産事業の2018年度の取組みです。

ポイントは、
①養殖事業の進化・拡大
鮭鱒については、弓ヶ浜水産の銀鮭は品質に対する評価も高く、今中計でも毎年増産を計画しており、さらに鮮度に拘り、差別化・ブランド化を狙います。また、養殖用配合飼料の販売も拡大してまいります。

②加工機能の強化
今年度より、寿司ネタプロジェクトを立上げ、生食加工商品を強化します。

まぐろについては、産地加工拠点を増やすなど、加工度の高いまぐろの販売を増やし、付加価値化を進めます。
また、昨年度よりスタートした完全養殖まぐろの出荷を拡大していきます。

2018年度計画食品事業(1)

食品事業の2018年度の取組みです。

ポイントは、ライフスタイルの変化に伴う食ニーズへの対応です。

①国内チルド事業には、継続投資し、成長基盤の強化を図ります。

②即食や簡便調理ニーズへの対応としては、おにぎりや米飯、夕食向け惣菜メニューに注力いたします。
また、減塩技術を活かした商品や自然解凍品など冷凍野菜の拡大など健康訴求商品群を拡充していきます。

③すりみなど原料高騰への対応については次のページで説明します。

2018年度計画食品事業(2)

国内ではすりみなどの原料高騰や人手不足による物流費アップなどの影響がありますが、2025年までに総合生産効率50%向上を目標とする「スマートワーク2025」の活動をスタートし、IoTやAIなどを活用し、工数削減と物的生産性向上に取組みます。

海外グループのCiteMarineでも白身魚の高騰の影響はありますが、前年度M&Aなどで3工場体制から5工場体制としましたので、今年度は5工場でのフル生産となり数量増が見込める。生産数量の増加に加え、生産体制の最適化を図りながら、原料高騰の影響を抑えながら成長を目指します。

2018年度計画ファインケミカル事業(1)

ファインケミカル事業の2018年度の取組みです。

医薬原料は、海外展開に向けた最終準備の段階であり、cGMPの体制を確立し、グローバル展開を進めます。

機能性原料は、販売先の選択と集中を行い、欧州での乳児用DHA事業の利益拡大を目指すとともに生産体制の最適化を図ります。

通販事業は広告宣伝費を前年に比べて絞り、ターゲット顧客ごとの多面的な商品展開を行うことで、リピート率を上げ、効率的に事業を展開してまいります。

新しいEPA機能性表示食品や新たな機能性脂質商品の研究・開発にも積極的に取組んで行きます。

2018年度計画ファインケミカル事業(2)

ファインケミカル事業ではEPA・DHAをいかに効率的に生産し、国内外に供給する体制を構築していくかがポイントであると考えております。

グループ工場も含めた4工場での医薬品原料および機能性原料の生産効率の最適化を実現することにより利益最大化を図ります。

Global Links

見通しに関する注意事項

参考資料

【参考】2017年度セグメントマトリックス売上高(前期比)

【参考】2017年度セグメントマトリックス営業利益(前期比)

【参考】2018年度計画セグメントマトリックス売上高(前期比)

【参考】2018年度計画セグメントマトリックス営業利益(前期比)