マダコの完全養殖の技術構築に成功

2017年6月8日

日本水産株式会社(代表取締役 社長執行役員 細見典男、東京都港区、以下「ニッスイ」)は、マダコの完全養殖の技術構築に成功しましたので、お知らせします。

タコ類は国内で年間7~10万トンが流通しており、全量が天然の漁獲物で、40~50%程度が国内産、残りは輸入品が占めています。タコ類は非常に身近な水産物ですが、養殖の技術は確立されていません。
天然のマダコは、卵から孵化した幼生が海中を浮遊したのち海底に定着し、成魚のマダコと同じ姿形の稚ダコに成長します。
マダコを養殖する場合、浮遊幼生が着底できずに死滅してしまうことが多く、着底段階に到達した国内での成功例は数件が報告されているにすぎず、浮遊幼生以降の育成の成功や、完全養殖の技術構築には至っていません。海外では、完全養殖の成功例が2004年に一例のみ報告されていますが、再現することが困難な模様で、その後の進展は報告されていません。

ニッスイ中央研究所大分海洋研究センターでは、かねてより①親ダコから安定的に採卵する技術、②孵化幼生を飼育する環境の適正化、③稚ダコの飼育に適性のある餌料の開発を行ってきました。
その結果、2015年、少数ながらも稚ダコの人工種苗の生産に成功しました。さらに2016年、4月に孵化した浮遊幼生数千尾のうち数十尾が7月に稚ダコとなりました。稚ダコの段階に入ると比較的安定して飼育でき、孵化から7ヶ月で1kgを超え、高成長性が確認されました。孵化後9~11ヶ月で、交尾や産卵する複数の個体が見られました。
こうして、2016年4月に当研究センターで孵化した成魚由来の卵が2017年4月に孵化して数万尾のマダコ幼生が得られ、極めて困難とされるマダコの完全養殖に成功しました。

完全養殖マダコの実用化技術を構築するには、浮遊幼生から稚ダコまでの間の生残性の向上や、稚ダコ初期の育成技術の向上などにも大きな課題が残されており、事業化にはまだ研究が必要です。
一方、今回の成功は、最も難関とされる浮遊幼生から稚ダコまでの飼育特性を把握することや、短期間で完全養殖技術を構築し、またマダコの優れた養殖特性の一端を明らかにすることができ、完全養殖マダコの量産化に向けた大きな一歩といえます。
今後は、最終目標である天然資源に依存しない完全養殖マダコの安定供給体制の構築を目指していきます。

人工的に生産したマダコの稚ダコ(60日齢、体長2~3㎝)

以上