オーストラリアのエビ養殖会社シーファーム・グループ社に資本参加

2018年05月22日

日本水産株式会社(代表取締役 社長執行役員 的埜明世、東京都港区、以下ニッスイ)は、5月22日、オーストラリア最大のエビ養殖会社であるシーファーム・グループ社(Seafarms Group Ltd、以下SFG社、)と、同社の発行済み株式数の14.99%に相当する第三者割当増資を約25百万オーストラリアドル(約21億円)で引き受けることで合意しましたので、お知らせします。

SFG社は、環境基準が厳しくえび養殖の参入障壁が高いといわれる同国において、クイーンズランド州を拠点に高品質な養殖エビを生産しており、同国養殖エビ生産量の1/3強を占めています。このたび、同社が同国北部のノーザンテリトリーで新たに大規模なエビ養殖場の開発許可を得る見通しがつき、ニッスイとしても差別化されたエビ養殖事業の生産拠点および商材の確保の点で意義が大きいことから、出資に至ったものです。

同社の100%子会社でこの事業を担うプロジェクト・シー・ドラゴン社(Project Sea Dragon Pty Ltd、以下PSD社)が、2018年度中にブラックタイガーの養殖場建設に着手、2021年度に出荷開始の予定です。養殖場には一次加工場を隣接させ、鮮度・味・食感のよい高品質えびを初年度10,000トンの生産を目指します。

この出資に伴い、ニッスイはPSD社の生産するブラックタイガーを日本・オーストラリアおよびニュージーランド市場で独占的に販売すること、また関連製品をニッスイグループ各社の販売網を通じてグローバルに販売することが可能となります。
またSFG社の既存のエビ養殖事業を担う同社100%子会社のシーファーム・オペレーション社(Seafarms Operations Pty Ltd)より、年間2,000トンのブラックタイガーなどの供給を受け、日本およびオセアニアで販売していきます。なお同社では、一部のエビで完全養殖を行っています。

SFG社のクイーンズランド州の既存の養殖場

SFG社の製品(ブラックタイガー)

日本のエビ市場は漸減傾向にあるものの、欧米や中国などでは拡大傾向にあり、品質・生産量・価格が安定している養殖エビの需要は堅調な推移が見込まれています。その8割は養殖効率のよいバナメイが占め、かつて主流であったブラックタイガーは2割に留まっています。しかしサイズが大きく加熱後の色沢や食感の良さからそのニーズは根強く、生産量の減少もあってバナメイとの価格差は拡大しています。

これまでニッスイの水産事業では「養殖事業の高度化」を課題のひとつに掲げ、エビ養殖では、生食にも適するバナメイの国内陸上養殖のフィジビリティスタディに着手しています。2018年度を初年度とする新中期経営計画「MVIP+(プラス)2020」でも、海外養殖事業の拡大に取組みます。
SFG社事業への参画を通じて、養殖エビの品揃えの強化と長期かつ安定的な供給が可能となります。
ニッスイは、エビ事業を白身魚やサケ・マスに次ぐ主要事業とすべく育成していきます。

注)シーファーム・グループ社Seafarms Group Ltd概要

本社所在地
オーストラリア、西オーストラリア州パース
代表者
イアン・タラハー氏
事業内容
エビ養殖事業など
設立
1988年6月
資本金
103.7百万オーストラリアドル(2017年末)
売上高
35.7百万オーストラリアドル(2017年度)

*オーストラリア証券取引所(ASX)上場企業

以上

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