ニッスイの健康経営、2018年度の取組

2018年11月30日

日本水産株式会社(代表取締役 社長執行役員 的埜明世、東京都港区、以下「ニッスイ」)では、「健康経営宣言」(2016年度制定)に基づき2017年度より健康経営に着手しています。従業員が「能力を十分に発揮できること」「従業員とその家族のQOL(生活の質)の向上」を目指して、従業員の心と体の健康を積極的にサポートします。これによって、多様な人材が健康で能力を発揮できる環境を整備し、生産性向上につなげていきます。
個人の健康を促進する施策、仕事と私生活の両立を支援する施策、働きやすくやりがいのある職場づくりのための施策として、今年度は以下を実施しています。

(1)個人の健康を促進する施策:「EPA(注1)/AA比」(注2)の測定

生活習慣病の予防のため、2016年度より、ニッスイの主要事業であるファインケミカル事業の中核をなすEPA(エイコサペンタエン酸)の活用を開始しています。
2016年度の定期健康診断より、全社員の検査項目として循環器系疾患の発症との関連が示唆される指標であるEPA/AA比を取り入れ、全社平均0.4 (注3)を目標値をとしました。
その結果、全体のEPA/AA比は、2016年度では0.29、2017年度では0.35、2018年度は0.38となりました。
年代別の平均では、50歳代が0.34から0.46に、60歳代が0.38から0.42に増加し、昨年すでに0.4を超えていた70歳代とあわせ、50歳代以上で2016年度に設定した目標0.4を達成しました。40歳代以下は、2016年は0.3以下でしたが、2018年度は0.4以下となりました。
また、循環器系疾患発症の原因一つとされる中性脂肪については、2017/18年度の比較では5%低下しました。

  • 解析対象・・・日本水産の職員を対象とする定期健康診断において、脂肪酸組成測定の同意が得られた職員2,122 人(2016年)、2,300人(2017年)、2,267人(2018年)
  • データ解析および監修:小林 悟氏(元・城西国際大学薬学部教授)
    なお、2016年度および18年度のEPA/AA比の測定結果については、「日本薬学会第139年会(千葉)」(公益社団法人日本薬学会、2019年3月20~23日開催)にて報告の予定です。

EPA/AA比向上へ向けた啓発として2017年度は、定期健康診断の実施直前の一定期間に、前年度の定期健康診断でEPA/AA比が低値であった社員(希望者)に対して、EPAを含有するニッスイ製品を摂取してもらう「EPAチャレンジ」を実施、翌年度もこれを継続しました。
また2018年度は、社員ひとりひとりの自主的な食生活の改善の取り組みを促進するため、EPA/AA比が1.0以上を達成した社員に健康奨励金の支給を行いました。
測定結果は個人にフィードバックするほか、部署ごとに集計して、以下のような番付を作成しています。

なお、厚生労働省・日本健康会議・経済産業省による「健康スコアリングレポート」2018年度版によれば、2016年度のニッスイ健保組合の健康状況は、肥満リスクは全組合の平均並みでしたが、血糖・血圧・肝機能の各リスクでは平均を下回り、脂質リスクについては大幅に平均を下回り、全体として全組合平均より良好な状態であったことがわかりました。

(2)個人の健康を促進する施策:「健康+(プラス)ストレージキャンペーン」の実施

6~7月の定期健康診断の時期にあわせ、生活習慣を見直すためのプラス行動を支援するための健康促進策として「健康+(プラス)ストレージキャンペーン」を実施、延べ543名の職員が参加し、56%が目標を達成しました。

  • 期間:6月1日~8月31日
  • 対象:正社員のうち希望者
  • 内容:全員参加可能な3コース、参加資格を設けた3コースから選択して参加。
       コースごとに設定された達成目標をクリアすると、カフェテリアプランのポイントを支給。
  • コース(例):60日間10,000歩を達成すると2,000ポイント支給(全員対象)
           対象期間の全期間で禁煙すると30,000ポイント支給(喫煙者対象) など

(3)個人の健康を促進する施策:禁煙施策の実施を支援する施策:禁煙施策の実施

2018年3月末に本社の喫煙室を閉鎖し、4月には業務用乗用車の全面禁煙を実施しました。また、本社以外の事業所でも、2年以内に喫煙所を廃止します。
喫煙率は、2016年度で30%、2018年度が28%となり2%の低下となりました。約40人が新たに禁煙に成功しました。
なお、禁煙外来治療に取組む職員に対して、カフェテリアプラン(次項参照)を通じて補助を行っています。

(4)仕事と私生活の両立を支援する施策:育児・介護・健康のサポート

ニッスイの福利厚生制度は、仕事と育児・介護の両立を支援し、健康増進や疾病予防の取組を強化するため、2018年2月に組合員を対象とするカフェテリアプランに移行しました。また、同年6月から、育児・介護・健康に関するメニューに絞って、幹部職員やアソシエイト職員への適用を開始しました。
本年度上期の利用者は2,076件となり、職員の4割が利用しました。
利用者が多かったメニューは多い順に、旅費・医療費・ワークライフバランス関連でした。

(5)働きやすくやりがいのある職場づくりのための施策:テレワークの全社試験導入

勤務場所にとらわれず、どこでも働ける柔軟な働き方を目指して、テレワーク勤務を全社で試験的に導入しました。ICTをフル活用して、自宅や移動途中、勤務先以外のオフィススペースでも仕事が可能です。事前の申請や、実施後の勤務管理システム登録など、一定のルールを設けています。
本年度上期で366名が申請し、累計で525件が実施されました。職員の37%が利用しました。

以上

  • (注1) EPAとは
    EPA(エイコサペンタエン酸)はイワシなどの魚油に含まれる成分のひとつで、オメガ3系の必須脂肪酸の一種ですが、体内でほとんど生成することができないため、毎日の食生活を通じて摂取する必要があります。 EPAは、心疾患リスクの軽減や血中中性脂肪の低下、抗炎症などのさまざまな作用が認められています。1990年には閉塞性動脈硬化症、1994年には高脂血症の治療薬として認可されました。
    なおニッスイでは、肉中心の食生活を送る現代人に向け、肉の日(29日)の翌日の30日に青魚のEPAを摂取すること推奨し、バランスの取れた食生活を提案するため、毎月30日を「EPAの日」として一般社団法人日本記念日協会に登録、認定されました。
  • (注2) EPA/AA比とは
    健康を維持するEPAの機能についてはすでに多くのことが明らかにされていますが、今日、特に注目されているのが、EPAとAA(アラキドン酸)の体内バランスを示す比率「EPA/AA比」です。
    AAは必須脂肪酸ですが、肉や植物油(リノール酸)の摂取に偏った食生活を続けていると体内で増えて炎症を促進し、動脈硬化を起こしやすい体質にするものです。一方EPAは、炎症を抑制し動脈硬化が起こりにくい体質にします。
    EPA/AA比が高いと心血管疾患による死亡率が低いことが発表され(九州大学大学院医学研究院による「久山町研究」、Atherosclerosis 231 (2013) 261-267)、EPA/AA比があらためて注目されています。
  • (注3) EPA/AA比の目安
    EPA/AA比は、0.4以下で心血管系疾患との関係が指摘されており(参考文献)、ニッスイでは2016年度よりこの数値を初期の到達目標としました。
    米国心臓学会は、冠動脈疾患予防のためのEPA/AA比として、0.75以上を、二次予防では1.0以上を推奨しています。

参考文献
・Atherosclerosis 231 (2013) 261-267
・British Journal of Nutrition 89,267,2003
・Lancet2007;369:1090,Lipids,25,505(1990)
・日本心血管カテーテル資料学会誌 8 219(2008)
*Nutr Metab (Lond). 2013 12;10(1):25
*Diabetes Care. 2014;37(1):e7-8
*Atherosclerosis. 2016 ;249:65-9
*Atherosclerosis. 2015 ;239(2):583-8
*Nutrition. 2013;29(1):127-31
*Circ J. 2012;76(2):423-9
*Hypertens Res. 2016 ;39(4):272-5
*Nutr J. 2015 ;14(111):1-6