「健康経営(*1)銘柄2019」に選定

2019年02月21日

日本水産株式会社(代表取締役 社長執行役員 的埜 明世、東京都港区、以下「ニッスイ」)は、2019年2月21日、経済産業省と東京証券取引所の共同による「健康経営銘柄2019」に選定されました。水産・農林業では初めてのことです。

健康経営銘柄2019

「健康経営銘柄」は、東京証券取引所の上場企業の中から、従業員の健康管理を経営的な視点で考え、戦略的に取組む企業を、原則として1業種から1社を選定するもので、2015年から実施されています。「健康経営」に優れた企業を選定し、長期的な企業価値の向上を重視する投資家にとって魅力ある企業として紹介することを通じて、「健康経営」に取組む企業が社会的に評価され、より「健康経営」の取組みを促進することを目指しています。

今回の選定では、ニッスイが、魚を中心とした食生活から健康づくりを拡大し、個人から部署へ、全社へ広がる健康経営で働きやすい環境を創造したことが評価されました。

ニッスイの取組み

ニッスイでは、2016年3月に「CSR行動宣言」を制定、持続的な成長と企業価値向上の実現を目指すCSR経営に着手しました。「健康経営」はその重要課題の一つであり、2017年2月に「健康経営宣言」を制定して活動を開始しました。部署横断的な部会を設置し、社長を筆頭とする委員会を通じて、第三者の評価も得ながらこれに取組んでいます。
従業員が「能力を十分に発揮できること」「従業員とその家族のQOL(生活の質)の向上」を目指して、従業員の心と体の健康を積極的にサポートしています。これによって、多様な人材が健康で能力を発揮できる環境を整備し、生産性向上につなげていきます。

個人の健康を促進する施策、仕事と私生活の両立を支援する施策、働きやすくやりがいのある職場づくりのための施策として、2018年度は以下を実施しました。

(1)個人の健康を促進する施策として以下を実施しました。

■「EPA(*2) /AA比」(*3)の測定

生活習慣病の予防のため、2016年度より、ニッスイの主要事業であるファインケミカル事業の中核をなすEPA(エイコサペンタエン酸)の活用を開始しています。
2016年度の定期健康診断より、全社員の検査項目として循環器系疾患の発症との関連が示唆される指標であるEPA/AA比を取り入れ、全社平均0.4(*4)を目標値としました。
その結果、全体のEPA/AA比は、2016年度では0.29、2017年度では0.35、2018年度は0.38となりました。

2018年度は、社員ひとりひとりの自主的な食生活改善への取組みを促進するため、EPA/AA比が1.0以上を達成した社員に健康奨励金の支給を行いました。
測定結果は個人にフィードバックするほか、部署ごとに集計して、以下のような番付を作成しています。

健康番付

■健康+(プラス)ストレージキャンペーン

6〜7月の定期健康診断の時期にあわせ、生活習慣を見直すためのプラス行動を支援するための健康促進策として「健康+(プラス)ストレージキャンペーン」を実施、延べ543名の職員が参加し、56%が目標を達成しました。

  • 期間:6月1日〜8月31日
  • 対象:正社員のうち希望者
  • 内容:全員参加可能な3コース、参加資格を設けた3コースから選択して参加。

コースごとに設定された達成目標をクリアすると、カフェテリアプランのポイントが支給されます。

■禁煙支援

2018年3月末に本社の喫煙室を閉鎖し、4月には業務用乗用車の全面禁煙を実施しました。また、本社以外の事業所でも、2年以内の喫煙所の廃止・縮小を目指します。
喫煙率は、2016年度で30%、2018年度が28%となり2%の低下となりました。約40人が新たに禁煙に成功した換算になります。
2019年1月には、社長が「禁煙宣言」し、約30名の経営幹部がそれに続いて禁煙に挑戦中です。
なお、禁煙外来治療に取組み、成功した職員には治療費補助を行っています。

(2)仕事と私生活の両立を支援する施策として、育児・介護・健康をサポートしています。

ニッスイの福利厚生制度は、仕事と育児・介護の両立を支援し、健康増進や疾病予防の取組みを強化するため、2018年2月に組合員を対象とするカフェテリアプランに移行しました。また、同年6月から、育児・介護・健康に関するメニューに絞って、幹部職員やアソシエイト職員への適用を開始しました。

(3)働きやすくやりがいのある職場づくりのための施策として、テレワークの全社試験を導入しました。

ニッスイでは今後も健康経営の推進に取組み、社員の心身健康の増進だけでなく、働き方改革にも取組み、より良い企業となるよう活動を進めていきます。

  • (*1) 「健康経営」は、NPO法人健康経営研究会の登録商標です。
  • (*2) EPA
    EPA(エイコサペンタエン酸)はイワシなどの魚油に含まれる成分のひとつで、オメガ3系の必須脂肪酸の一種ですが、体内でほとんど生成することができないため、毎日の食生活を通じて摂取する必要があります。
    EPAは、心疾患リスクの軽減や血中中性脂肪の低下、抗炎症などのさまざまな作用が認められています。1990年には閉塞性動脈硬化症、1994年には高脂血症の治療薬として認可されました。
    なおニッスイでは、肉中心の食生活を送る現代人に向け、肉の日(29日)の翌日の30日に青魚のEPAを摂取すること推奨し、バランスの取れた食生活を提案するため、毎月30日を「EPAの日」として一般社団法人日本記念日協会に登録、認定されました。
  • (*3) EPA/AA比
    健康を維持するEPAの機能についてはすでに多くのことが明らかにされていますが、今日、特に注目されているのが、EPAとAA(アラキドン酸)の体内バランスを示す比率「EPA/AA比」です。
    AAは必須脂肪酸ですが、肉や植物油(リノール酸)の摂取に偏った食生活を続けていると体内で増えて炎症を促進し、動脈硬化を起こしやすい体質にするものです。一方EPAは、炎症を抑制し動脈硬化が起こりにくい体質にします。
    EPA/AA比が高いと心血管疾患による死亡率が低いことが発表され(九州大学大学院医学研究院による「久山町研究」、Atherosclerosis 231 (2013) 261-267)、EPA/AA比があらためて注目されています。
  • (*4) EPA/AA比の目安
    EPA/AA比は、0.4以下で心血管系疾患との関係が指摘されており(以下参考文献参照)、ニッスイでは2016年度よりこの数値を初期の到達目標としました。
    米国心臓学会は、冠動脈疾患予防のためのEPA/AA比として、0.75以上を、二次予防では1.0以上を推奨しています。

参考文献

  • Atherosclerosis 231 (2013) 261-267
  • British Journal of Nutrition 89,267,2003
  • Lancet2007;369:1090,Lipids,25,505(1990)
  • 日本心血管カテーテル資料学会誌 8 219(2008)

*Nutr Metab (Lond). 2013 12;10(1):25
*Diabetes Care. 2014;37(1):e7-8
*Atherosclerosis. 2016 ;249:65-9
*Atherosclerosis. 2015 ;239(2):583-8
*Nutrition. 2013;29(1):127-31
*Circ J. 2012;76(2):423-9
*Hypertens Res. 2016 ;39(4):272-5
*Nutr J. 2015 ;14(111):1-6

以上

  • X(twitter)
  • LINE