ニッスイの健康経営、2019年度の取組

2019年11月29日

日本水産株式会社(代表取締役 社長執行役員 的埜明世、東京都港区、以下「ニッスイ」)では、「健康経営宣言」(2016年度制定)に基づき2017年度より健康経営に着手しています。従業員が「能力を十分に発揮できること」「従業員とその家族のQOL(生活の質)の向上」を目指して、従業員の心と体の健康を積極的にサポートすることにより、多様な人材が健康で能力を発揮できる環境を整備し、生産性向上につなげることを企図しています。
個人の健康を促進する施策、仕事と私生活の両立を支援する施策、働きやすくやりがいのある職場づくりのための施策として、2019年度は以下を実施しました。

(1)個人の健康を促進する施策:「EPA(注1)/AA比」(注2)の測定

生活習慣病の予防のため、2016年度より、ニッスイの主要事業であるファインケミカル事業の中核をなすEPA(エイコサペンタエン酸)を活用した活動を実施しています。
2016年度の定期健康診断より、全従業員の検査項目として心筋梗塞・脳梗塞などの循環器系疾患の発症との関連が示唆される指標であるEPA/AA比を取り入れ、全社平均0.4 (注3)を目標値としています。
その結果、全体のEPA/AA比は、2016年度では0.29、2017年度では0.35、2018年度は0.38と目標に向けて徐々に上昇してきましたが、2019年度は2017年度並みの0.35にとどまりました。

<データ解析からの示唆>
この定期健康診断でEPA/AA比測定を行った従業員(注4)を解析したところ、2016年に60歳であった人の17年・18年・19年の各年を起点とするその先10年間の比較で、心筋梗塞・脳梗塞を発症するリスクが32%低下することが認められました。
またこの解析対象集団のEPA/AA比は、2016年度の0.25から2019年度には0.43に上昇していましたが、これに伴い、心筋梗塞・脳梗塞の発症リスク因子となる血漿脂質プロフィール・血圧・BMI・体脂肪率などの各種指標に改善が見られており、これがリスクの低下につながったと考えられます。
心筋梗塞・脳梗塞などの循環器系疾患の発症リスクが高くなる年代において、EPAの摂取が発症リスクを低減させたことは、従業員各人の健康維持のみならず、健康保健財政への貢献や将来の健康寿命の延伸につながるものとして期待されます。

  • データ解析および監修:小林 悟氏(元・城西国際大学薬学部教授)
    なお、現在までに得られた結果については、「日本薬学会第140年会(京都)」(公益社団法人日本薬学会、2020年3月25~28日開催) にて報告の予定です。

EPA/AA比向上へ向けた従業員の啓発として、2018年度から定期健康診断の実施直前の一定期間に、前年度の定期健康診断でEPA/AA比が低値であった従業員(希望者)に対して、EPAを含有するニッスイ製品を摂取してもらう「EPAチャレンジ」を実施しています。
2019年度もこれを継続したところ、「EPAチャレンジ」参加者のEPA/AA比の平均値は2018年度に比べて0.18上昇しました。
EPA/AA比の測定結果は個人にフィードバックするほか、部署ごとに集計して「健康番付」を作成しています。

2019年度「健康番付」

(2)個人の健康を促進する施策:「健康+(プラス)ストレージキャンペーン」の実施

定期健康診断の時期にあわせ、生活習慣を見直すためのプラス行動を支援するための健康促進策として、2018年度より「健康+(プラス)ストレージキャンペーン」を実施しています。
2019年度は延べ606名(前年は543名)の正社員が参加し、68%が目標を達成しました。

  • 期間:4月5日~7月13日(90日間)
  • 対象:正社員のうち希望者
  • 内容:全員参加可能な3コース、参加資格を設けた3コースから選択して参加。
       コースごとに設定された達成目標をクリアすると、カフェテリアプランのポイントを支給。
  • コース(例):「8,000歩」あるいは「30分以上の運動」実施(全員対象)
           魚の主菜1回/日以上あるいはEPA+DHA900mg/日以上摂取(全員対象)
           全期間禁煙(喫煙者対象)
           週3回の体重記録と体重2㎏減(BMI≧25対象) など

(3)個人の健康を促進する施策:禁煙施策の実施を支援する施策:禁煙施策の実施

2018年3月末に本社の喫煙室を閉鎖し、2019年度には全ての販売支社の喫煙所を閉鎖しました。その他の事業所についても完全閉鎖を目指しており、継続して喫煙所の縮小・閉鎖を進めています。なお、業務用乗用車については2018年度から全面禁煙としています。
2019年1月には社長が禁煙宣言をし、30名近い従業員がそれに続いて禁煙に挑戦しました。
また、2019年度は定期健診時に合わせて、保健スタッフによる喫煙者への個別指導を実施し、たばこの健康リスクを知る機会とするとともに、禁煙啓蒙活動を強化しました。
喫煙率は、2016年度で30%、2019年度が26.1%となり4%の低下となりました。
2019年度の定期健診における問診の結果、2018年度の喫煙者62名が禁煙に成功しています。
なお、禁煙外来治療に取組む従業員に対しては、治療費の補助を行っています。

(4)仕事と私生活の両立を支援する施策:育児・介護・健康のサポート

仕事と育児・介護の両立を支援し、健康増進や疾病予防の取組を強化するため、2018年度から福利厚生制度にカフェテリアプランを導入しました。
2019年上期の利用件数は延べ2,593件であり、2018年度は年間8割を超える職員が利用しました。
利用者が多かったメニューは主に、医療・自社健康商品購入費・ワークライフバランス関連でした。
2019年度は、短期傷病時に年5日を上限に利用可能な有給休暇として「あんしん休暇」を導入しました。2019年上期で71名の職員が利用しています。
さらに、2020年度には育児・介護を抱える短時間勤務者の働き方を柔軟にするため、「短時間フレックスタイム制度」の導入を予定しています。

(5)働きやすくやりがいのある職場づくりのための施策:テレワーク勤務制度の導入

どこでも働ける柔軟な働き方を目指して、2019年度よりテレワーク勤務制度を導入しました。モバイルパソコンや通信機器を活用しながら、自宅や移動途中、勤務先以外のオフィススペースでも仕事ができる環境の整備を進めています。
2019年9月には、台風などの自然災害や東京オリンピックなどによる通勤困難な状況を想定し、本社で一斉テレワークを実施しました。期間中は対象者の73%が在宅勤務やモバイルワークを行いました。今後もさらなる制度普及と柔軟な働き方を推進し、働き方改革を継続していきます。

以上

  • (注1) EPAとは
    EPA(エイコサペンタエン酸)はイワシなどの魚油に含まれる成分のひとつで、オメガ3系の必須脂肪酸の一種ですが、体内でほとんど生成することができないため、毎日の食生活を通じて摂取する必要があります。
    EPAは、心疾患リスクの軽減や血中中性脂肪の低下、抗炎症などのさまざまな作用が認められています。1990年には閉塞性動脈硬化症、1994年には高脂血症の治療薬として認可されました。
    なおニッスイでは、肉中心の食生活を送る現代人に向け、肉の日(29日)の翌日の30日に青魚のEPAを摂取すること推奨し、バランスの取れた食生活を提案するため、毎月30日を「EPAの日」として一般社団法人日本記念日協会に登録、認定されました。
  • (注2) EPA/AA比とは
    健康を維持するEPAの機能についてはすでに多くのことが明らかにされていますが、今日、特に注目されているのが、EPAとAA(アラキドン酸)の体内バランスを示す比率「EPA/AA比」です。
    AAは必須脂肪酸ですが、肉や植物油(リノール酸)の摂取に偏った食生活を続けていると体内で増えて炎症を促進し、動脈硬化を起こしやすい体質にするものです。一方EPAは、炎症を抑制し動脈硬化が起こりにくい体質にします。
    EPA/AA比が高いと心血管疾患による死亡率が低いことが発表され(九州大学大学院医学研究院による「久山町研究」、Atherosclerosis 231 (2013) 261-267)、EPA/AA比があらためて注目されています。
  • (注3) EPA/AA比の目安
    EPA/AA比は、0.4以下で心血管系疾患との関係が指摘されており(参考文献)、ニッスイでは2016年度よりこの数値を初期の到達目標としました。
    米国心臓学会は、冠動脈疾患予防のためのEPA/AA比として、0.75以上を、二次予防では1.0以上を推奨しています。

参考文献
・Atherosclerosis 231 (2013) 261-267
・British Journal of Nutrition 89,267,2003
・Lancet2007;369:1090,Lipids,25,505(1990)
・日本心血管カテーテル資料学会誌 8 219(2008)
*Nutr Metab (Lond). 2013 12;10(1):25
*Diabetes Care. 2014;37(1):e7-8
*Atherosclerosis. 2016 ;249:65-9
*Atherosclerosis. 2015 ;239(2):583-8
*Nutrition. 2013;29(1):127-31
*Circ J. 2012;76(2):423-9
*Hypertens Res. 2016 ;39(4):272-5
*Nutr J. 2015 ;14(111):1-6

(注4) 解析対象数は 2,122 人(2016年)、2,300人(2017年)、2,267人(2018年)、2,309人(2019年)