第2四半期決算は、前年に魚病などで苦戦した鮭鱒事業の大幅好転に加え、有価証券の売却もありましたので、売上高は前期比290億円増収の3,328億円、営業利益は32億円増益の130億円、当期純利益も45億円増益の92億円となり、増収・増益となりました。 年間計画に対する進捗は、売上高・利益共に概ね50%以上と順調に推移しており、過去最高益の年間計画を達成する見込みです。 尚、中間配当につきましては、期初の予定どおり1株4円で、前年同期比1.5円増となります。
事業別の売上高と営業利益の表です。 水産事業と食品事業で、為替の影響もありましたが前期比増収・増益となりました。一方、ファインケミカル事業で9億円の減益と苦戦しました。 営業利益につきましては、次のページでご説明します。
営業利益の前期比の主な増減です。 南米の鮭鱒事業では販売価格の上昇に加え、養殖成績も良好であったことから52億円の大幅な増益となりました。さらに、北米では、水産事業で助子の増収、食品事業で昨年苦戦した家庭用冷凍食品が回復したこともあり増益となりました。 一方、ファインケミカル事業では鹿島の新しい医薬品工場の減価償却費の増加や通販事業での広告宣伝費の投入があり減益となりましたが、全体では32億円の増益となりました。
連結の損益計算書です。 営業利益の内容はこれまでの説明のとおりですが、営業外損益で前期の為替差損が差益に転じたこともあり、経常利益は前期比40億円増益の133億円となりました。 特別損益では、投資有価証券の売却益もあり、当期純利益は45億円増益の92億円となりました。
連結貸借対照表です。 総資産は、売掛金や棚卸資産など流動資産の増加により、前期末比352億円増の4,871億円となりました。 純資産は、利益剰余金の増加がありましたので、前期末比80億円増の1,492億円となりましたが、自己資本比率は総資産の増加があり、前期末とほぼ横ばいの26.7%となりました。
ここからは、各事業についてご説明します。 水産事業は、前期比で売上高164億円、営業利益38億円の大幅な増収・増益となりました。 右のグラフで鮭鱒の価格推移を示していますが、高止まりの状況が続いており、鮭鱒事業の業績を支えている一つの要因となっています。 詳細は次ページ以降でご説明します。
【漁業】では、日本でぶりの漁獲減に加え、修繕費や新船の償却費の増加もあり減益となりました。 【養殖】では、南米の鮭鱒の養殖事業は既にご説明のとおり大幅な増益となりました。 一方、国内の養殖事業では、まぐろの販売単価の下落はありましたが、ぶりの販売数量の増加や銀鮭の増産がありました。 【加工・商事】では、北米のすけそうだら事業で助子の増収とコスト削減効果があり、ヨーロッパでも新規ビジネスへの取り組みなど販売が順調に推移したことにより、増益となりました。 【ニッスイ個別】については次ページでご説明します。
【加工】では、昨年苦戦しました北米の家庭用冷凍食品会社で、為替の影響により増収となり、販売費の見直しなどで増益となりました。業務用冷凍食品会社でも同様に増収となりましたが、主原料のエビの価格の上昇により減益となりました。 ヨーロッパでは、原材料費の上昇はありましたが、成長カテゴリーへの取り組みが寄与し、増益となりました。 【チルド】では、コンビニエンスストア向けの惣菜や調理麺などの販売は伸びましたが、増産に対する対応不足など生産コスト増加の影響もあり、減益となりました。 【ニッスイ個別】については次ページでご説明します。
ニッスイ個別の食品は、主力の焼きおにぎりを始めとする家庭用冷凍食品や魚肉ソーセージの販売が堅調に推移し、売上高は増収となりましたが、営業利益は、業務用冷凍食品や常温食品の原料不足による利益率の低下もあり、1億円の増益に止まりました。
ファインケミカル事業は、前期比で売上高2億円の増収、営業利益9億円の減益となりました。 【ニッスイ個別】では、鹿島の新しい医薬品工場の減価償却費の増加やイマークを中心とした通販事業の販売拡大に向けて広告宣伝費を大幅に投入したことにより、10億円の減益となりました。 【日水製薬】では、診断薬などで販売が順調に推移し、1億円の増益となりました。
事業別・エリア別の売上高のマトリックス表です。 事業別には前ページでご覧頂きましたので、エリア別に見ますと、全エリアで前期比増収、特に日本・ヨーロッパで大幅な増収となっています。 尚、為替による増収の影響が全体で104億円含まれています。
次に、年間の業績予想についてご説明します。 水産市況や為替など不安定な要素はありますが、期初計画を変更せず、売上高は前期比200億円増収の6,560億円、営業利益は13億円増益の240億円、当期純利益は57億円増益の200億円を見込んでいます。 各利益共に過去最高益を更新し、現中計の最終年度目標を上回る見込みです。
水産事業の第3四半期以降の主な打ち手としては、 【南米鮭鱒養殖事業】では、本年に発生した淡水養殖場の魚病対策強化を継続します。尚、稚魚の斃死がありましたので、来年度に多少影響するかもしれません。 【北米事業】では、引き続きリストラを進めると共に、新生産ラインの整備など生産性向上に取り組みます。 【国内まぐろ養殖事業】では、お客様の声に応え、産地加工に取り組むなど加工度の高いまぐろの販売を増やし、価格ダウンをカバーします。また、今冬より完全養殖まぐろの出荷を予定しています。 【日水個別】では、最需要期に向けて販促キャンペーンなどを投入すると共に、水産市況の下落リスクを想定し、在庫管理を更に徹底します。
世界の鮭鱒の生産量と輸入統計の推移です。 全体の生産量に占める養殖の比率は高く、特に養殖アトランが6割以上を占めていますが、そのアトランの価格が調整局面に入った感もあります。 アトランに引っ張られ、全体の価格が調整される可能性もあり、リスクが出てきていると考えています。
食品事業の第3四半期以降の主な打ち手としては、 【北米事業】では、えびなどの原料相場の価格変動リスクを踏まえた購買や生産効率向上などコスト削減を継続します。 【欧州事業】では、新工場建設やM&Aによる生産体制の再編と拡充により、販売数量を拡大して行きます。 【日水個別】では、家庭用冷凍食品で麺・米飯カテゴリーの販売強化を継続すると共に、業務用冷凍食品や常温食品の原料不足の商品群に対する代替提案を徹底します。 【チルド事業】では、上期苦戦した生産体制の最適化により、生産コストの引き下げを図ります。
ニッスイ個別は順調に推移する予定ですが、チルドは上期の影響が残るかもしれません。加工はヨーロッパで拡大すると共に、前年苦戦したGorton'sの回復を見込んでいますが、K&Pが原料高により苦戦する見込みです。
10月2日に白身魚であるスケソウダラのタンパク質の筋肉増加効果について発表しました。複数の大学などと共同研究を実施し、動物試験で筋肉の瞬発力を司る「速筋」を増やす効果があることを見い出し、また人での有効性も明らかにすることができました。 この様なスケソウダラのタンパク質を手軽に摂取できるものとして、ひき肉状にしたスケソウダラをパラパラに凍結した「おさかなミンチ」を商品化しました。 魚油の持つ機能性や減塩技術などと合わせて、「健康」を軸とした品揃えを進めて行きます。
ファインケミカル事業の第3四半期以降の主な打ち手としては、 【医薬品原料】では、鹿島医薬品工場で、海外展開を見据えたcGMP認定取得のための試験を実施の上、予定どおり来年1月から本番生産を開始できる様取り進めます。 【機能性食品】では、通販事業について、これまで投入してきた広告宣伝に対する効果検証を行い、より有効な媒体や対象とする顧客を絞り込み、顧客拡大を図ります。