2018年3月期 第2四半期決算説明会

2018年3月期 第2四半期決算概要

2018年3月期第2四半期決算総括

第2四半期決算は、前年に魚病などで苦戦した鮭鱒事業の大幅好転に加え、有価証券の売却もありましたので、売上高は前期比290億円増収の3,328億円、営業利益は32億円増益の130億円、当期純利益も45億円増益の92億円となり、増収・増益となりました。
年間計画に対する進捗は、売上高・利益共に概ね50%以上と順調に推移しており、過去最高益の年間計画を達成する見込みです。
尚、中間配当につきましては、期初の予定どおり1株4円で、前年同期比1.5円増となります。

2018年3月期第2四半期決算セグメント別概況

事業別の売上高と営業利益の表です。
水産事業と食品事業で、為替の影響もありましたが前期比増収・増益となりました。一方、ファインケミカル事業で9億円の減益と苦戦しました。
営業利益につきましては、次のページでご説明します。

主な営業利益増減要因

営業利益の前期比の主な増減です。
南米の鮭鱒事業では販売価格の上昇に加え、養殖成績も良好であったことから52億円の大幅な増益となりました。さらに、北米では、水産事業で助子の増収、食品事業で昨年苦戦した家庭用冷凍食品が回復したこともあり増益となりました。
一方、ファインケミカル事業では鹿島の新しい医薬品工場の減価償却費の増加や通販事業での広告宣伝費の投入があり減益となりましたが、全体では32億円の増益となりました。

連結損益計算書(前年同期比)

連結の損益計算書です。
営業利益の内容はこれまでの説明のとおりですが、営業外損益で前期の為替差損が差益に転じたこともあり、経常利益は前期比40億円増益の133億円となりました。
特別損益では、投資有価証券の売却益もあり、当期純利益は45億円増益の92億円となりました。

連結貸借対照表(前期末比)

連結貸借対照表です。
総資産は、売掛金や棚卸資産など流動資産の増加により、前期末比352億円増の4,871億円となりました。
純資産は、利益剰余金の増加がありましたので、前期末比80億円増の1,492億円となりましたが、自己資本比率は総資産の増加があり、前期末とほぼ横ばいの26.7%となりました。

連結キャッシュフロー(前年同期比)

連結キャッシュフローです。
売掛金や棚卸資産など運転資本が増加しており、営業キャッシュフローが減少しています。

連結借入金・純金利負担

キャッシュの動きは前ページのとおりですので、借入金は前期末145億円増加の2,222億円となりました。
低金利が続いていることから、純金利負担は抑えられています。

水産事業

ここからは、各事業についてご説明します。
水産事業は、前期比で売上高164億円、営業利益38億円の大幅な増収・増益となりました。
右のグラフで鮭鱒の価格推移を示していますが、高止まりの状況が続いており、鮭鱒事業の業績を支えている一つの要因となっています。
詳細は次ページ以降でご説明します。

水産事業 売上高・営業利益(前年同期比)

【漁業】では、日本でぶりの漁獲減に加え、修繕費や新船の償却費の増加もあり減益となりました。
【養殖】では、南米の鮭鱒の養殖事業は既にご説明のとおり大幅な増益となりました。
一方、国内の養殖事業では、まぐろの販売単価の下落はありましたが、ぶりの販売数量の増加や銀鮭の増産がありました。
【加工・商事】では、北米のすけそうだら事業で助子の増収とコスト削減効果があり、ヨーロッパでも新規ビジネスへの取り組みなど販売が順調に推移したことにより、増益となりました。
【ニッスイ個別】については次ページでご説明します。

水産事業 ニッスイ個別(前年同期比)

ニッスイ個別の水産は、鮭鱒価格の上昇などにより売上高は前期比75億円の増収となりましたが、飼料油飼のコスト増などにより、1億円の減益となりました。

食品事業

食品事業は、売上高は前期比131億円の増収、営業利益は微増となりました。
詳細は次ページ以降でご説明します。

食品事業 売上高・営業利益(前年同期比)

【加工】では、昨年苦戦しました北米の家庭用冷凍食品会社で、為替の影響により増収となり、販売費の見直しなどで増益となりました。業務用冷凍食品会社でも同様に増収となりましたが、主原料のエビの価格の上昇により減益となりました。
ヨーロッパでは、原材料費の上昇はありましたが、成長カテゴリーへの取り組みが寄与し、増益となりました。
【チルド】では、コンビニエンスストア向けの惣菜や調理麺などの販売は伸びましたが、増産に対する対応不足など生産コスト増加の影響もあり、減益となりました。
【ニッスイ個別】については次ページでご説明します。

食品事業 ニッスイ個別(前年同期比)

ニッスイ個別の食品は、主力の焼きおにぎりを始めとする家庭用冷凍食品や魚肉ソーセージの販売が堅調に推移し、売上高は増収となりましたが、営業利益は、業務用冷凍食品や常温食品の原料不足による利益率の低下もあり、1億円の増益に止まりました。

ファインケミカル事業

ファインケミカル事業は、前期比で売上高2億円の増収、営業利益9億円の減益となりました。
【ニッスイ個別】では、鹿島の新しい医薬品工場の減価償却費の増加やイマークを中心とした通販事業の販売拡大に向けて広告宣伝費を大幅に投入したことにより、10億円の減益となりました。
【日水製薬】では、診断薬などで販売が順調に推移し、1億円の増益となりました。

物流事業

物流事業では、昨年4月に開業した大阪舞洲センターが増収となったことに加え、既存冷蔵庫も入庫量が堅調に推移したことから、売上高は前期比3億円増収、営業利益は2億円増益となりました。

【参考】セグメントマトリックス売上高(前年同期比)

事業別・エリア別の売上高のマトリックス表です。
事業別には前ページでご覧頂きましたので、エリア別に見ますと、全エリアで前期比増収、特に日本・ヨーロッパで大幅な増収となっています。
尚、為替による増収の影響が全体で104億円含まれています。

【参考】セグメントマトリックス営業利益(前年同期比)

同様の営業利益のマトリックス表です。
エリア別では、鮭鱒の養殖事業を行っている南米で前期比大幅な増益となっています。

2018年3月期見通しについて

2018年3月期通期業績見通し(連結)

次に、年間の業績予想についてご説明します。
水産市況や為替など不安定な要素はありますが、期初計画を変更せず、売上高は前期比200億円増収の6,560億円、営業利益は13億円増益の240億円、当期純利益は57億円増益の200億円を見込んでいます。
各利益共に過去最高益を更新し、現中計の最終年度目標を上回る見込みです。

水産事業第3四半期以降の打ち手

水産事業の第3四半期以降の主な打ち手としては、
【南米鮭鱒養殖事業】では、本年に発生した淡水養殖場の魚病対策強化を継続します。尚、稚魚の斃死がありましたので、来年度に多少影響するかもしれません。
【北米事業】では、引き続きリストラを進めると共に、新生産ラインの整備など生産性向上に取り組みます。
【国内まぐろ養殖事業】では、お客様の声に応え、産地加工に取り組むなど加工度の高いまぐろの販売を増やし、価格ダウンをカバーします。また、今冬より完全養殖まぐろの出荷を予定しています。
【日水個別】では、最需要期に向けて販促キャンペーンなどを投入すると共に、水産市況の下落リスクを想定し、在庫管理を更に徹底します。

水産事業会社別営業利益(3ヶ年推移)

会社別営業利益の3ヶ年の推移になります。
養殖は南米の鮭鱒養殖事業に引っ張られ3年間で大幅に増益となる計画です。また、17年度は、漁業を除き、赤字の会社が概ね無くなる予定です。

世界の鮭鱒生産量と鮭鱒輸入統計の推移

世界の鮭鱒の生産量と輸入統計の推移です。
全体の生産量に占める養殖の比率は高く、特に養殖アトランが6割以上を占めていますが、そのアトランの価格が調整局面に入った感もあります。
アトランに引っ張られ、全体の価格が調整される可能性もあり、リスクが出てきていると考えています。

国内養殖事業の進化

先程触れました産地加工のイメージです。
ぶりでは既に進んでいますが、まぐろも加工度を上げ、おいしい魚を新鮮な状態で消費地にお届けする仕組みを構築して行きます。

食品事業第3四半期以降の打ち手

食品事業の第3四半期以降の主な打ち手としては、
【北米事業】では、えびなどの原料相場の価格変動リスクを踏まえた購買や生産効率向上などコスト削減を継続します。
【欧州事業】では、新工場建設やM&Aによる生産体制の再編と拡充により、販売数量を拡大して行きます。
【日水個別】では、家庭用冷凍食品で麺・米飯カテゴリーの販売強化を継続すると共に、業務用冷凍食品や常温食品の原料不足の商品群に対する代替提案を徹底します。
【チルド事業】では、上期苦戦した生産体制の最適化により、生産コストの引き下げを図ります。

食品事業会社別営業利益(3ヶ年推移)

ニッスイ個別は順調に推移する予定ですが、チルドは上期の影響が残るかもしれません。加工はヨーロッパで拡大すると共に、前年苦戦したGorton'sの回復を見込んでいますが、K&Pが原料高により苦戦する見込みです。

様々な切り口での健康訴求

10月2日に白身魚であるスケソウダラのタンパク質の筋肉増加効果について発表しました。複数の大学などと共同研究を実施し、動物試験で筋肉の瞬発力を司る「速筋」を増やす効果があることを見い出し、また人での有効性も明らかにすることができました。
この様なスケソウダラのタンパク質を手軽に摂取できるものとして、ひき肉状にしたスケソウダラをパラパラに凍結した「おさかなミンチ」を商品化しました。
魚油の持つ機能性や減塩技術などと合わせて、「健康」を軸とした品揃えを進めて行きます。

ファインケミカル事業第3四半期以降の打ち手

ファインケミカル事業の第3四半期以降の主な打ち手としては、
【医薬品原料】では、鹿島医薬品工場で、海外展開を見据えたcGMP認定取得のための試験を実施の上、予定どおり来年1月から本番生産を開始できる様取り進めます。
【機能性食品】では、通販事業について、これまで投入してきた広告宣伝に対する効果検証を行い、より有効な媒体や対象とする顧客を絞り込み、顧客拡大を図ります。

ファインケミカル事業第3四半期以降の打ち手

上期は、通販事業の拡大を目指して、広告宣伝費を幅広く投入して来ました。
下期以降は、ターゲットを絞った効果的な広告宣伝を行っていきます。

MVIP2017進捗と今後の方針

中期経営計画MVIP2017の進捗

中期経営計画MVIP2017に対する業績の進捗状況です。
売上高は中計作成時の為替より円高が進んだこともあり未達ですが、営業利益以下の段階損益は中計を上回る見込みです。

次期中期経営計画に向けて

次期中計は、現在議論の最終段階ですが、方向性は、独自の技術を用い、資源の持続性や健康など、社会課題の解決に取り組んで行きたいと考えています。

見通しに関する注意事項