未来に向けて情報発信する100周年記念事業

2011年11月発行 第70号収録

「海洋資源は世界至る処でこれを求め、できるだけ新鮮な状態で貯え、世界各市場にいわば水道の鉄管を引き、需要に応じて市価の調整を図りつつこれを配給する。水産物も配給上の無駄を排しできるだけ安価に配給を図り、その間一切不当な利益を要求すべきではない」
ニッスイは、1911(明治44) 年の創業以来、この思いを継承してきました。世界の人々と手を携え、水産資源から多様な価値を創造することで、社会に貢献してきたのです。創業100 年を機に、こうした企業姿勢と、その基盤となる理念を未来へ伝えていくために、ニッスイパイオニア館は誕生しました。時を越えて受け継がれる「ニッスイの志」がここにあります。

【写真】若戸大橋のたもとに建つニッスイ戸畑ビル。75年前に建築された建物は2009年に「北九州市都市景観賞」を受賞しました

若戸大橋のたもとに建つニッスイ戸畑ビル。75年前に建築された建物は2009年に「北九州市都市景観賞」を受賞しました

未来に向けて情報発信する100周年記念事業

ニッスイは創業100周年の記念事業として、次の100年を支える研究開発拠点にするため東京・八王子に「東京イノベーションセンター」を設立しました。さらに、「日本水産百年史」と「日本水産魚譜」を刊行し、8月には「ニッスイパイオニア館」を開設しました。

「日本水産百年史」は、創業から100年にわたるニッスイの歩みと日本・世界の経済や水産業の推移について、外部専門家の目で史実を掘り下げ編纂しました。水産業の歴史を史実として検証し、単なる企業の社史としてだけではなく、産業の正史としても堪え得る内容を目指しました。水産業の産業化や食生活の向上に対する強い思い、鮮度の良い水産物をできるだけ無駄を省いてお届けするという使命感は、時代が変わってもニッスイの遺伝子として引き継がれています。

日本における民間初の水産研究機関である 早鞆はやとも 水産研究会は、日本水産の前身、共同漁業グループの研究機関であり、海洋生物の生態観察を大正期より戦後まで続けました。この早鞆水産研究会が制作した「魚譜」は、漁獲の現場でのさまざまな魚類の生態観察を基に、日本画の描画法を用いて正確に描かれたもので、その研究成果は「メキシコ太平洋岸の海産魚類(1937〈昭和12〉年)、「南洋食用水族図説(1941〈昭和16〉年)などとして発表され、日本の魚類研究に大きな足跡を残しました。

「日本水産魚譜」は、ニッスイの創業100周年の節目に魚譜に関する先達の志を引き継ぎ、現代日本を代表する標本画家8人が新たに描画した作品を加えて、有用魚種全350種を網羅して編纂いたしました。

そしてニッスイパイオニア館は、「水産業研究者などへの情報提供」「事業活動関連情報の発信」「地域他施設と連携した地域貢献」「教育委員会や学校と協力した教育支援」を目的とし、ニッスイ創業以来の水産分野の「開拓者・先駆者」としての活動経過を伝えるため、ニッスイパイオニア館(Nissui Pioneer Exhibition)と命名し開館しました。

創業100周年記念事業として刊行された「日本水産百年史」(写真左)と「日本水産魚譜」(写真右)

創業100周年記念事業として刊行された「日本水産百年史」(写真左)と「日本水産魚譜」(写真右)

【写真】ニッスイパイオニア館入口玄関

ニッスイパイオニア館入口玄関