海洋・深海調査を支える日本海洋事業(株)

ニッスイグループの一員である日本海洋事業(株)は、独立行政法人 海洋研究開発機構(JAMSTEC)が所有する海洋・深海調査船の運航・管理業務を受託し、地球環境問題の解決や地震津波対策・資源探査技術の向上に貢献しています。

近年、地球規模の海洋・気象変動に対する予測、対策が重要な課題となっていますが、地球表面の72パーセントを占める海洋は地球環境の変動に大きく関与しています。

【写真】深海調査研究船「かいれい」(協力 海洋研究開発機構)

深海調査研究船「かいれい」(協力 海洋研究開発機構)

JAMSTECは、海洋に関する総合的試験研究機関として、海洋が果たす役割と海洋が持つメカニズムの解明のために、海洋調査船、深海潜水調査船、無人探査機や各種の音響機器などの先端技術を開発・利用し、精力的な研究を続けています。

日本海洋事業(株)はJAMSTECが建造した、日本初の本格的な深海の有人潜水調査船「しんかい2000」の支援母船「なつしま」(現在は海洋調査船)を運航するため、1980(昭和55)年に設立されました。以来、ニッスイが長年蓄積した沖合での海上作業の現場力、技術力を基に、JAMSTEC が海洋・地球科学の研究に活用する各種船舶の運航を担い、地震・火山活動など、地球環境に大きな影響を与える海洋、深海、海底のダイナミクスを探るための調査支援全般を行っています。

現在、日本海洋事業(株)の船舶運用業務としては、海洋調査船の「なつしま」「かいよう」、支援母船の「よこすか」、深海調査研究船「かいれい」、および学術研究船「白鳳丸」「淡青丸」の運航および支援を担当し、安全・円滑なオペレーションによって、研究成果に貢献してきました。

深海探査では、有人として最大潜航深度6,500m の能力を持つ世界最高水準の大深度潜水調査船「しんかい6500」の運航を手掛けるとともに、最大潜航深度7,000mまで潜航調査することができる無人探査機「かいこう7000 Ⅱ」、最大3,000mまでの潜航が可能な無人探査機「ハイパードルフィン」、自律型深海探査ロボットの深海巡航探査機「うらしま」の運航など、世界トップレベルの深海用の機器システムの総合的な運用を行い、最先端の技術を保有しています。

これらの機器システムによる調査観測をより一層充実し、研究のニーズに対応するため、研究の支援業務として、地震探査、深海調査の支援、観測データの処理などの調査観測業務を手掛け、それらの調査結果のデータ処理・ドキュメント作成などを含む業務全般を行っています。研究支援業務には海洋調査船に乗船しての洋上作業もあり、観測技術員と呼ばれる専門技術を習得した技術者たちが、常に新しい試みに挑戦しています。

地震探査の場合、海底下の地層からの反射波をストリーマーケーブルと呼ばれる受振器を内蔵したケーブルで捉える「マルチチャンネル反射法探査システム(MCS)」で得られたデータを解析することで、海底下10数kmまでの地殻構造を詳細に把握することができ、また、各地層で屈折・反射した波を海底地震計でとらえる「海底地震計屈折法システム」によって、さらに深部、海底下数十km の構造が分かります。この調査で過去の海溝型巨大地震に関連したと推測される分岐断層が発見されるなど、数々の成果をあげています。

近年では海洋鉱物資源調査として、JAMSTEC と独立行政法人 石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)が連携して行っているニッケルやマンガン、コバルトなどのレアメタルの海底調査を実施しました。また、東日本大震災の直後には、3月14日から6月にかけて、「かいれい」、「よこすか」、「なつしま」による海底地形の調査、海水の放射能濃度を測定するための採水、海底地震計の設置・回収、2011(平成23)年8月には「しんかい6500」による海底調査を実施し、一連の地震で生じた可能性のある亀裂や段差を発見しました。

【写真】深海調査中の「しんかい6500」(提供 海洋研究開発機構)

深海調査中の「しんかい6500」(提供 海洋研究開発機構)

マルチチャンネル反射法探査システム(MCS)と海底地震計を用いた屈折法地震探査

調査船がえい航するエアガンから圧縮空気を放出して、人工的な地震波を発射し、その反射波をストリーマーケーブルや海底地震計で捉えます。反射波の強弱などから海底下の構造を調べます。海面に繰り出されるストリーマーケーブルの総延長は約6,000mにも及びます。調査船はケーブルをえい航し、一定の速度を維持しながら500km も航走します