もっと手軽にEPAを EPA含有食品の開発

2012年11月発行 第73号収録

長らくニッスイは、魚介類に含まれている有用成分の研究・開発に携わり、世界で初めて青魚から高純度のEPAを抽出・精製することに成功、ファインケミカル事業への道筋をつけました。ニッスイでは、EPAの有用性をもっと多くの方に役立てていただきたいという思いから、EPAを手軽に摂取できる食品の開発を進めています。

青魚のサラサラ成分 注目されたEPA

EPAの多様な効果

EPA(エイコサペンタエン酸)の有用性が注目されたきっかけは、1960年代後半に行われた極寒の地・グリーンランドで暮らすイヌイットの疫学健康調査でした。

イヌイットは、野菜をほとんど摂らず、アザラシなどの肉を主食としています。にもかかわらず、牛や豚、羊など肉食中心のヨーロッパ人より、心筋梗塞で亡くなる方が非常に少なかったのです。調査の結果、イヌイットの血液中に含まれるEPAが、ヨーロッパ人に比べきわめて多いことが明らかになりました。彼らが摂っているEPAは、アザラシなどが主食とするいわしなどの青魚に由来するものでした。

EPAは、人間の体では合成されにくいとされる必須脂肪酸です。血管・血液の健康維持に重要であり、「血液をサラサラにする」「中性脂肪を下げる」「血管年齢を若く保つ」「心臓病・脳梗塞を防ぐ」「動脈硬化を防ぐ」などの効果があります。しかし、食の欧米化が進み、肉類の摂取が増えた結果、日本人の魚の摂取量は減少し、それに比例してEPAの摂取量も少なくなりました。健康維持のため、食品からの脂肪摂取は質的バランスが求められますが、現代日本人の食生活環境において「積極的に摂取すべき脂質」は、青魚に多く含まれるEPAであるといえます。

【図】EPAの摂取量減少と反比例して増える動脈硬化性疾患による死亡率

世界で初めて高純度EPAを抽出 1990年医薬品化に成功

1978(昭和53)年にイヌイットとEPAに関する研究結果が発表されると、ニッスイはいち早く注目。グループ会社と連携してEPAの研究に着手しました。1979(昭和54)年から大学と共同研究も始め、1980(昭和55)年、魚油から高純度のEPAを抽出・精製する技術を世界に先駆けて開発しました。

1981(昭和56)年には、高純度EPAの医薬品化を目指し製薬会社と提携。そして1990(平成2)年、閉塞性動脈硬化症の適用で新薬の承認を得て、EPAを原体とした医薬品「エパデール」が製薬会社より発売されました。「エパデール」は後に高脂血症にも適用範囲を広げ、さらに冠動脈疾患の予防にも有効なことが認められ、発売20年以上経過した現在もEPA原料の販売量が増加しています。

ニッスイは、現在、医薬品をはじめ健康食品の素材として利用される高品質なEPAを供給できる、世界最大級のメーカーとなっています。

【図】安全・安心なEPAをお届けするため、原料となる魚油の調達から精製油の生産まで自社で行っています。