環境負荷を低減したエビの陸上養殖
2011年、大分海洋研究センターでは環境負荷の大きい従来養殖法とは異なる発想で、エビ養殖の研究を開始しました。SPF (Specific Pathogen Free:特定病原体を持たない) の親エビが入手可能なバナメイエビを対象種とし、「バイオフロック養殖法」という難易度の高いシステムでの飼育管理技術の確立を目指しました。
「バイオフロック養殖法」では、養殖水槽外の濾過設備を使用せず、閉鎖系の水槽内で発生したバイオフロック(微生物集合体)の管理がポイントです。一般的なエビ養殖と比較して使用する水量が少なくすむため、環境負荷を大幅に低減させ、同時に外部からの病原体侵入リスクも抑えることができます。
環境に配慮した手法で育成した安全・安心で高品質なエビをお客様に提供することが可能になり、2023年度からは事業として運営を開始。さらに養殖技術を深化させるべく、データサイエンスを活用してエビに適した飼育環境の最適化にも取り組んでいます。
図 1.頴娃陸上養殖施設全景
図 2.生まれて間もない種苗
「白姫えび」として商品化
「閉鎖式バイオフロック養殖システム」による陸上養殖バナメイエビは、2018年9月より業務用食材「白姫(しらひめ)えび」として数量限定で販売してきました。甘みが強く、生食可能な養殖エビとして、輸入バナメイエビとは一線を画した評価を獲得してきました。今後、全国の外食・量販店水産売場などに向けて販売を拡大していきます。
図 3.「白姫えび」の商品画像