原料である鶏肉・野菜を、飼育と収穫の現場から研究
ニッスイでは、高品質な原料へのアクセス力をさらに向上させるため、原料に関する研究にも力を入れています。特に、鶏肉と野菜に焦点を当て、多角的な研究を行っています。鶏肉に関しては、ニッスイがこれまでに培ってきた養殖魚用の配合飼料の技術を生かして、新しい飼料を開発し、さらに飼育環境をコントロールすることで、鶏肉の肉質を向上を実現しました。野菜に関する研究では、冷凍ブロッコリーの品質が収穫時の気温に影響されること、また冷凍キャベツの品質が品種によって変わることや、冷凍エダマメの品質が気温・水質で変わることなど、ニッスイ独自の新たな知見を継続的に見い出しています。これらの研究成果は、ニッスイが優位性のある高品質な製品をお届けするうえで、重要な要素になります。
図 1.冷凍ブロッコリーの硬さと収穫気温の相関図
研究のアプローチ
原料に関する研究を進めるうえで大切にしているのは、外部専門家との積極的な意見交換と、現場をよく知ることです。研究を始めた当初は社内に鶏の飼育や野菜の栽培に関する知見がなかったため、多くの大学や畜産試験場、農研機構などの外部研究機関や圃場を訪れ、現場での学びを深めました。社内での飼育・栽培試験も前例がありませんでしたが、国内の鶏肉サプライヤーや農研機構との共同研究により、実施可能な体制を構築しました。試験の回数は限りがあり頻繁には実施できないため、研究をスピードアップするための工夫を日々追求しています。
図 2.枝豆の栽培地
さらに、官能評価や物性測定、構造観察、成分分析を通じて品質を可視化し、品種や飼育、栽培方法が美味しさにどのように影響するかのメカニズム解明にも取り組んでいます。
図 3.鶏もも肉の分析評価結果
研究成果
この鶏肉の研究によって、弾力、きめ細やかな食感、ジューシーさ、そして鶏本来の深い旨みを持つ、ニッスイ独自のブランド鶏「GRANDORI(グランドリ)」が誕生しました。商品化第1弾の「今日のおかず 国産ももから揚げ(家庭用冷凍食品)」では、鶏肉本来のおいしさを最大限引き出した品質を実現し、ご好評をいただいています。冷凍野菜においても、研究成果を活用することで、生鮮品と変わらないおいしさを提供しています。冷凍食品の原料に対するアプローチは新規性が高く、ニッスイ独自の知見なども組み合わせることで、ニッスイにしかできない味や食感に優れた商品をお届けできると考えています。これからもあらゆる食の可能性を追及し、新しい食を創造していきます。
図 4.GRANDORIのロゴと冷凍から揚げの商品例