2023年5月17日開催
水産物の需要は海外マーケットで伸びており、当社は海外売上高比率が高いこともあることから、水産市況が多少増減しても利益は出せると考えている。養殖事業も収益が安定してきた。また、食品事業は国内外ともに値上げが浸透してきている。ファインケミカル事業は、2023年度は厳しい事業環境だが2024年度は環境が好転することを見込んでいる。楽観はできないが、計画は達成できると考えている。
事業別のROICは社内的な数字はまとまってきたが、数字をもとに計画に落とし込むレベルまではまだ出来ていない。2023年度以降は事業別に計画に落とし込めるレベルにしたいと考えている。ポートフォリオの構造改革の議論はROIC導入前から取り組んでいるが、ROICの数値をもとに議論のレベルを上げて取り組んでいく。
北米・欧州における食品のメーカー機能や資源アクセスへの投資などが必要だと考えている。2023年度のM&A枠として200億円を確保しているが、大切なのは投資に対するリターンであり、最初から規模ありきではなく効果がある投資であれば増額してでも行うべきだと考えている。
PBR1倍を達成する為に、特定の事業を成長させようとは考えていない。2022年度は水産事業が大きく利益を伸ばして食品事業の苦戦をカバーしたが、2023年は水産事業の落ち込みを食品事業でカバーする計画を立てている。各事業がバランスを取って成長していくことで、事業としての安定感が増すと考えている。
養殖事業は、2022~2024年度にかけて水揚げ規模を15%拡大していきたい。ぶりや銀鮭など国内養殖を中心に伸ばしていく。例えば、当社の完全養殖ぶりは他社が出荷できない夏場に出荷できる強みがあり、こうした差別化できる商品を磨いていくことが、水産市況の増減に強くなるとともに収益の安定化にもつながると考えている。加工商事は海外で水産物需要が堅調なことに加え、在庫管理を国内外で徹底してきたことも市況変動に打たれ強くなった要因と考える。今後も資源アクセス強化に加え、メーカー機能を高めることで高付加価値品(食材化)の比率を上げ、市況変動による業績のボラティリティを下げる取り組みを進めていく。
既存の生簀で2022~2024年度にかけて水揚げ数量を15%拡大できると考えている。中長期の成長に向けては、国内は地元の漁協や自治体と友好な関係を維持しながら規模の拡大を図っていくとともに、国内外でのM&Aも選択肢として考え得る。
魚種によって状況は異なる為一概には申し上げられないが、全体として価格は下がるという印象である。高単価の在庫を早期に販売するなどの在庫管理を徹底することで相場の変動に耐えられる体質を構築していくことが2023年度は重要になる。
販売拡大、値上げの浸透、不採算アイテムの削減、チルドベンダー事業の経営統合などが増益の要因である。過年度でのコストインフレによるコストアップ影響を値上げ効果が後追いして、今まで取りこぼしたコストアップ分を吸収するというイメージである。
欧州向け輸出に必要な申請が完了すれば、2023年度第4四半期~2024年度第1四半期にかけて出荷できると考えている。北米向け輸出はお客様の在庫調整の影響で中断しているが、2024年度後半くらいから再開されることを期待している。市場価格については原料となる南米カタクチイワシの原油価格が高騰しており、製品価格を下げる動きは見られない。また、競合の新たな設備投資などは聞いていないので、当面の価格・競合環境は変わらないと考えている。
欧州のシェアについては、競合他社の関係もあるため詳細は申し上げられないが、バイヤーはサプライヤーを絞ると表明しているので、サプライヤーの一つに組み込まれることに期待している。売上・利益規模については数値での回答は差し控える。