ニッスイの健康経営、2021年度の取組み進捗

2021年12月09日

日本水産株式会社(代表取締役 社長執行役員 浜田 晋吾、東京都港区、以下「ニッスイ」)では、「健康経営宣言(*1)」(2016年度制定、*2)に基づき2017年度より健康経営に着手、本年度で5年目となりました。これまでの活動の結果、経済産業省と東京証券取引所の共同による「健康経営銘柄」に2019~21年の3年連続で選定されています。

2021年度は、新型コロナウイルス感染対策を講じながら、「喫煙率の低減」「肥満率の改善」「EPA(*3)/AA比(*4)の向上」の健康推進策を中心に取組みました。

(1)喫煙率の低減
これまでの禁煙の取組みによりニッスイ従業員の喫煙率は漸減傾向となっていますが、まだ全国平均より高い状況にあり、引き続き対策に取組んだ結果、前年度から2.6%減少して22.7%となりました。
ニッスイでは、2022年度に「365日就業時間禁煙化」を目指しており、昨年度より毎週水曜日の就業時間中を禁煙とする「禁煙デー」を導入しました。本年度はこれを一歩進めて、7月より毎月第2週の1週間を禁煙とする「禁煙ウィーク」を追加し、また第2週目(ニッ)と水曜日(スイ)を禁煙日とした「ニッスイ(第2週&水曜日)禁煙DAYS」を実施しました。
それに先立ち、「世界禁煙デー」にあたる5月31日を初日として6月6日までの1週間、全社一斉禁煙を実施しました。
また、これまで同様に禁煙外来治療への補助や、各事業所の喫煙所の閉鎖や縮小にも引き続き取組みました。

「ニッスイ禁煙DAYS」を実施

「ニッスイ禁煙DAYS」を実施


(2)肥満率の改善
ニッスイの従業員の肥満率は全国平均を上回ってかつ漸増傾向にあり、課題となっています。 昨年来の新型コロナウイルスの感染拡大の影響で顕在化した運動不足の解消や、社内コミュニケーションの活性化に向けて、「カラダ改善コンテスト(*5)」を実施しました。

「カラダ改善コンテスト」を実施

「カラダ改善コンテスト」を実施


従業員5人程度でチームを組み、5~7月の2か月間に、チームや個人でウォーキングやさまざまな脂肪減少・筋肉増加策に取り組みました。期間中の歩数、減少した脂肪量や増加した筋肉量を計測してポイントに換算、獲得したポイントをチーム対抗戦で競いました。優勝チームには賞金を贈呈、個人賞も贈呈しました。また、コンテストのサポートとして、参加者全員にニッスイの速筋タンパク商品を無償提供しました。
その結果、特定保健指導の対象者となり得るBMI25以上の参加者では、90名(84.1%)のBMI値が改善し、そのうち22名(20.6%)がBMI25以下まで改善しました。また、事後に実施したアンケートによると、多くの参加者が運動不足の解消や従業員間のコミュニケーション改善を実感しており、約半数以上は労働意欲などにも好影響を実感した結果となりました。
 あわせて、NHK「筋肉体操」でおなじみの、近畿大学生物理工学部准教授・谷本道哉氏による「速筋タンパク運動」のオンラインセミナーを6月に従業員向けに実施しました。
そのほか、定期健康診断時期にあわせて生活習慣を見直すプラス行動を支援する取り組み「健康+ストレージキャンペーン」も継続しました。健康増進や生活改善につながるコースを選択して60日間での達成目標を設定し、達成者には賞金もしくは健康支援グッズを贈呈しました。2021年度は365名(前年は334名)が参加し、77%の方が目標を達成しました。 また、定期健康診断結果にもとづく産業保健スタッフによる保健指導の強化や、食堂を併設する事業所では食生活改善活動も実施しました。

(3)「EPA/AA比」の向上
2016年度より、定期健康診断の検査項目に心筋梗塞・脳梗塞などの循環器系疾患の発症との関連が示唆される指標であるEPA/AA比を全従業員に取り入れ、全社平均0.4 (*6)を目標値としています。ニッスイの主要事業であるファインケミカル事業の中核をなすEPA(エイコサペンタエン酸)を、社員の生活習慣病予防に活用する活動で、今年度も継続して実施しました。
EPA/AA比の全社平均は、2016年度では0.29、2018年度は0.38と目標に向けて上昇したものの、2021年度は0.31にとどまりました。要因として、コロナ禍による「巣ごもり」等の生活環境の変化の影響が大きく出てきたものと推測されます(小林 悟・元城西国際大学薬学部教授による解析(*7)。

<データ解析からの示唆>
年代別の平均EPA/AA比は、従来と同様に低年齢ほど低い傾向がありましたが、70 代以外は前年より低下していました。 各検査値の2016年以降5年間の変化も含めて、心筋梗塞・脳梗塞を発症するリスクの変動をみると、2016年時点と比較して本年は脳梗塞リスクは、40代・50代・ 60代でそれぞれ低下しましたが、心筋梗塞リスクは、40代・60代で低下したものの50代ではリスクが高くなりました。
2016 年から 2019 年までの結果と新型コロナが流行した2020 年以降を同一線上で評価するのは難しいと考えられますが、今後は変化した生活環境を考慮したEPA/AA比の向上へ向けた啓発・啓蒙活動が重要でありその実行が期待されます。 (小林 悟・元城西国際大学薬学部教授による解析(*7)。

あわせて、定期健康診断前にEPAを多く含むニッスイ商品を集中的に摂取してもらう「EPAチャレンジ」を、希望する従業員に対象に実施しました。この参加者のEPA/AA比は2021年度に比べて平均で0.19上昇しています。
健康診断によるEPA/AA比の測定結果は、個人にフィードバックするほか部署ごとに集計して「健康番付」を作成しました。

2021年 EPA/AA比健康番付

2021年 EPA/AA比健康番付


また、平均値が低めの食品工場を中心に、EPAを含有する自社商品のオイルを食堂に設置し、普段の昼食と併せた摂取を促しました。

(4)健康UPセミナーの開催
従業員の健康に関する意識を高め、自身の行動変容に繋げることを目的に、2020年度よりオンライン形式で食・運動・疾病予防等に関するセミナーを開催しています。
今年度の第1回(5月)開催は「眠りの質で明日が変わる!」と題して、保健スタッフが睡眠のメカニズムや良質な睡眠を取る方法についてレクチャーました。テーマに対する関心も高く、150名を超える従業員が参加しました。第2回(9月)では、肩こり・腰痛予防編としてRIZAPよりスポーツトレーナーを講師に招いて開催しました。家族も含めて参加しやすいよう、土曜日開催としました。第3回(11月)では、「お酒とからだの関係」と題して、アルコールと食事の工夫や依存症の危険、予防も交えてレクチャーしました。

  • (*1) 「健康経営」は、NPO法人健康経営研究会の登録商標です。
  • (*2) ニッスイの健康宣言 従業員が「能力を十分に発揮できること」「従業員とその家族のQOL(生活の質)の向上」を目指して、従業員の心と体の健康を積極的にサポートすることにより、多様な人材が健康で能力を発揮できる環境を整備し、生産性向上につなげることを企図しています。
  • (*3) EPA  EPA(エイコサペンタエン酸)はイワシなどの魚油に含まれる成分のひとつで、オメガ3系の必須脂肪酸の一種ですが、体内でほとんど生成することができないため、毎日の食生活を通じて摂取する必要があります。
    EPAは、心疾患リスクの軽減や血中中性脂肪の低下、抗炎症などのさまざまな作用が認められています。1990年には閉塞性動脈硬化症、1994年には高脂血症の治療薬として認可されました。
    なおニッスイでは、肉中心の食生活を送る現代人に向け、肉の日(29日)の翌日の30日に青魚のEPAを摂取すること推奨し、バランスの取れた食生活を提案するため、毎月30日を「EPAの日」として一般社団法人日本記念日協会に登録、認定されました。
  • (*4) EPA/AA比 健康を維持するEPAの機能についてはすでに多くのことが明らかにされていますが、今日、特に注目されているのが、EPAとAA(アラキドン酸)の体内バランスを示す比率「EPA/AA比」です。 AAは必須脂肪酸ですが、肉や植物油(リノール酸)の摂取に偏った食生活を続けていると体内で増えて炎症を促進し、動脈硬化を起こしやすい体質にするものです。一方EPAは、炎症を抑制し動脈硬化が起こりにくい体質にします。 EPA/AA比が高いと心血管疾患による死亡率が低いことが発表され(九州大学大学院医学研究院による「久山町研究」、Atherosclerosis 231 (2013) 261-267)、EPA/AA比があらためて注目されています。
  • (*5) カラダ改善コンテスト  日本駐車場開発株式会社のグループ会社で、健康関連の事業を営む日本からだ開発株式会社が提供する従業員向け健康経営実践プログラム。
  • (*6) EPA/AA比の目安 EPA/AA比は、0.4以下で心血管系疾患との関係が指摘されており(参考文献は下記)、ニッスイでは2016年度よりこの数値を初期の到達目標としました。 米国心臓学会は、冠動脈疾患予防のためのEPA/AA比として、0.75以上を、二次予防では1.0以上を推奨しています。
    参考文献
    ・Atherosclerosis 231 (2013) 261-267
    ・British Journal of Nutrition 89,267,2003
    ・Lancet2007;369:1090,Lipids,25,505(1990)
    ・日本心血管カテーテル治療学会誌 8 219(2008)
    *Nutr Metab (Lond). 2013 12;10(1):25
    *Diabetes Care. 2014;37(1):e7-8
    *Atherosclerosis. 2016 ;249:65-9
    *Atherosclerosis. 2015 ;239(2):583-8
    *Nutrition. 2013;29(1):127-31
    *Circ J. 2012;76(2):423-9
    *Hypertens Res. 2016 ;39(4):272-5
    *Nutr J. 2015 ;14(111):1-6
  • (*7) 解析対象数は 2,122 人(2016年)、2,300人(2017年)、2,267人(2018年)、2,309人(2019年)、2,382人(2020年)、2,455人(2021年)
  • 以 上