岩手県陸前高田市においてサーモン養殖を本格展開 市内に新たな養魚場を竣工、広田湾で養殖事業開始

2025年10月31日

 株式会社ニッスイ(代表取締役 社長執行役員 田中 輝、東京都港区)は、2023年より岩手県陸前高田市で実施してきたサーモンの試験養殖について、広田湾漁業協同組合(代表理事組合長 砂田 光保、岩手県陸前高田市)が保有する同市内のさけ・ます孵化施設「広田湾漁業協同組合 気仙川第3孵化場」(同市矢作町字越戸内)の一部を改修したサーモン種苗生産施設「株式会社ニッスイ 気仙川養魚場」を新設、同市および同漁協と協力して、同市におけるサーモン養殖事業などに種苗を供給します。
 また、同市でのサーモン養殖において安定した生産および出荷のめどが立ったことから、2025年11月1日よりグループ会社・弓ヶ浜水産株式会社(代表取締役社長 鶴岡比呂志、鳥取県境港市)の事業として運営を開始します。
 ニッスイグループは、2030年の長期ビジョン「GOOD FOODS 2030」において、サステナビリティを企業価値創造の主要施策に位置づけ、水産事業では持続可能な養殖事業を目指しています。国内サーモン養殖事業はそのひとつとして、同年に10,000トンの生産体制の実現を目指し、高品質な養殖サーモンの効率的かつ安定的生産による事業規模拡大に取り組んでいます。

Ⅰ. サーモン種苗生産施設「株式会社ニッスイ 気仙川養魚場」の竣工

「広田湾漁業協同組合 気仙川第3孵化場」の全景。
右側の青色の丸い水槽群(10基)を用いて、サーモン種苗生産を進める

 同漁協が所有しているさけ・ますの孵化場は、長年にわたりシロザケの放流事業を担ってきました。養魚場は孵化場の一部を活用したもので、既存資源を新たな形で活かす取り組みとしても注目されています。 東北地域にはサーモンの種苗生産業者が多くありますが、近年は気候変動の影響で将来の見通しが不確実になりつつあります。また、従来の河川水を利用する養殖方式では水温や水量の変動リスクが高まっており、増産対応と将来的な環境変化への備えとして、今回改修した施設では豊富な地下水を揚水して利用できる構造を採用、環境変化に強い仕組みを実現しています。
 自社で種苗を生産することにより、質・量の安定を図ることができ、生産性のいっそうの向上を目指します。また、本養魚場で生産した種苗は陸前高田の海面漁場へと出荷されます。
 本養魚場の概要は以下の通りです。

●同漁協が実施しているシロザケ孵化放流事業の休止期間(5~11月頃)を活用し、既存の取水設備などをサーモン種苗生産にも転用できるよう改修しました。
●孵化場の隣接地に大型水槽を新設し、生産能力と作業効率を高めました。

 本養魚場の稼働を契機に自治体および地域の漁業協同組合と協働し、孵化場の有効活用を通じて種苗生産体制の強化と生産拡大を進めていきます。

Ⅱ. 広田湾でのサーモン養殖事業開始

陸前高田市・広田湾で養殖されたサーモン

 ニッスイグループは、鳥取県境港市で開始した国内サーモン養殖事業の拠点を新潟県佐渡市・岩手県上閉伊郡大槌町・同県陸前高田市と徐々に増やしてきました。
 岩手県には2020年に進出し、大槌町で試験養殖を開始。2022年にこれを事業化して生産を拡大しました。
 陸前高田市においては、2023年から同漁協と共同で漁場環境の調査や生産方法の検討を目的に試験養殖を開始。飼育管理や出荷品質の安定化などさまざまな要素の改善を重ねた結果、このたび製品の安定出荷が見込める段階となりました。これを受け、同県より区画漁業権の免許を受け、同漁協の管轄海域内での本格操業および養殖事業の拡大が可能となりました。

 今後もニッスイは、健やかな生活とサステナブルな未来の実現に向け、地域社会と連携しながら国内サーモン養殖の発展に努めていきます。


以 上

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