ニッスイグループ、南米サーモン養殖事業を2.5倍に規模拡大 チリの養殖会社ペスケラ・ヤドラン社を完全子会社化
2026年01月16日
株式会社ニッスイ(代表取締役 社長執行役員 田中 輝、東京都港区)は、グループ企業であるサルモネス・アンタルティカ社(社長 熊倉 直樹、チリ共和国 ロス・ラゴス州チロエ、以下SA社)を通じ、ペスケラ・ヤドラン社(チリ共和国 ロス・ラゴス州プエルトモント、以下PY社)の全株式の取得を現地時間1月15日に完了し、同社を完全子会社としました。本買収により、既に進めているSA社の増産計画とあわせて、2030年には当社グループの南米におけるサーモン養殖事業を現在の2.5倍の規模にあたる年間8万トン強に拡大することを目指します。
*関連適時開示資料
PESQUERA YADRAN S.A.の株式取得及び特定子会社の異動に関するお知らせ

ペスケラ・ヤドラン社の加工場

ペスケラ・ヤドラン社のアトランティックサーモン
■本投資の戦略的意義と目的
当社グループは、長期ビジョン「GOOD FOODS 2030」の実現に向け、海外の水産事業および食品事業、ファインケミカル事業を成長ドライバーとして、2030 年に食品事業と水産事業がバランスした安定的な事業ポートフォリオの実現を目指しています。
なかでも水産事業のうち養殖事業は、世界中の人々にサステナブルで良質なタンパク質を提供することが可能であり、営業利益率 10%以上が期待できる事業として、ビジョンの達成に大きく前進する取り組みと位置づけています。
世界的に水産物需要が拡大するなか、人口増加や食の多様化、健康志向の高まりを背景にサーモンは優れたたんぱく源として、また、持続可能性の高い食材として需要が伸びています。一方、生産国においては、国ごとに状況は異なるものの、環境規制やライセンス制限の強化が年々進み、養殖場拡大の余地が限られてきており、今後、需給ギャップの構造的な拡大が予想されます。
今回、アトランティックサーモンを養殖・加工・販売するPY社がグループに加わることで、SA社のトラウト・ギンザケを加えた3魚種のラインアップで多様な市場ニーズに対応できる体制となり、当社グループ全体でのシナジーが見込めると判断し、本投資を決定しました。
長期ビジョンでは養殖事業は2030年度に売上高1,000億円・営業利益100億円規模としていましたが、本投資により計画を大きく上回ることとなります。
■本投資の効果
SA社とPY社の現状については以下の通りです。
| 項目 | SA社 | PY社 |
|---|---|---|
| ①主力魚種・現在の生産量・主な生産拠点 |
トラウト、ギンザケ 年間3万トン強生産 チロエ地区、アイセン地区 |
アトランティックサーモン 年間約3万トン生産 アイセン地区、チロエ地区 |
| ②養殖コスト管理 |
・自社の淡水養殖場を主力に高品質な種苗を供給。 ・飼料工場を保有。生産キャパシティに余裕あり。 ・業務の内製化を進め、コスト最適化を図る。 |
・淡水養殖場の賃借による種苗生産でコスト増加。 ・外部からの飼料購買で高コスト。 ・業務の外注による高コスト体質。 |
| ③加工機能 | トラウト・ギンザケが中心。日本向けの生食・フィレ加工に強み。 |
生鮮の北米向けアトランティックサーモンのフィレ加工に強み。 その他にも高付加価値な商品化が可能な加工機能を保有。 |
| ④販売先 | 当社およびグループ会社を通じて販売。日本向けが約60%で、次いでアメリカ、ブラジル、チリなど | 高付加価値な生鮮加工品として、グローバルな生鮮販売チャネルを通じて販売(アメリカ向け30%、中国15%、ブラジル15%など) |
SA社とPY社がオペレーションを一体化することで、魚種と生簀の最適バランスなど養殖の生産性を高めるとともに、生鮮・冷凍加工機能や鮮魚販売ネットワーク、グローバルリンクスの販売網を活用し、世界中のマーケットにお届けするなど、さまざまなシナジーを創出できると考えています。
想定する主なシナジーは、上記①〜④に対応して以下のとおりです。
①主力魚種・生産量・生産拠点:魚種構成・生簀配置の最適化で年間8万トン強の生産体制確立
・SA社が保有する漁場に、今回獲得したPY社の漁場を合わせ、アトランティックサーモン・トラウト・ギンザケそれぞれの魚種の特性に応じた最適配置を図り、生産性を向上します。
・2030年を目途に年間8万トン強のサーモン生産体制を構築し、グローバル競争力を強化します。
②養殖コスト管理:外注業務の内製化とコストの最適化
・物流の効率化や重複する間接コストのスリム化、外注業務の内製化を進めます。
・SA社淡水養殖場を活用することで、コストを下げるとともに、高品質な種苗を供給します。
・SA社飼料工場の生産能力を最大限活用し、生産性向上によりコスト最適化を推進します。
③加工機能:加工機能の活用による付加価値創出
PY社の生鮮加工機能を活かし、高付加価値商品の拡充につなげることで市場対応力を高めます。
④販売先:海外販売チャネル・グローバルリンクスの拡充
PY社が有する生鮮サーモン販売チャネルと当社の強みであるグローバルリンクスの販売網を組み合わせ、特にアメリカ市場を含む海外市場への供給力を強化します。
■リスク管理とサステナビリティ対応
養殖事業には海洋環境の変化、赤潮などの自然災害、疾病リスクや規制強化、市況変動などのリスクが存在します。当社グループは、SA社をはじめとする養殖事業で培ってきたバイオセキュリティ対策や魚病管理技術、複数産地・複数魚種での事業展開などを通じて、こうしたリスクに対する対応力を高めてきました。
今後も、環境負荷低減と地域社会との共生を推進するとともに、リスクを適切にコントロールしつつ事業成長を図り、サステナブルなサーモン養殖事業の拡大を目指してまいります。
【サルモネス・アンタルティカ社 Salmones Antartica S.A. 概要】
本社所在地 :チリ共和国 ロス・ラゴス州チロエ
代 表 者 :社長 熊倉 直樹
事 業 内 容:サーモン養殖事業および加工、販売事業
資 本 金 :86,071千米ドル
設 立 :1988年(ニッスイグループ入り)
株 主 :Nissui América Latina S.A. (100%出資)
【ペスケラ・ヤドラン社 Pesquera Yadran S.A. 概要】
本社所在地 :チリ共和国 ロス・ラゴス州プエルトモント
代 表 者 :社長 フェリペ・ブリオネス・ゴイチ
事 業 内 容:サーモン養殖事業および加工、販売事業
資 本 金 :106,078千米ドル
設 立 :1966年
株 主 :Salmones Antarctica S.A. (100%出資)
以 上