2022年3月期 決算説明会Q&A要旨

水産事業は将来的に営業利益率を5％にしたいと考えている。21年度の営業利益率は4.4％であり、これを5％にしていくことは可能だと思う。魚価の上昇だけでなく、流通プラットフォームのようなお客様に近いところで水産物を加工してお届けするビジネスをプラスしていくことで利益率を上げていく。お客様にお役立ちできるような商品、お客様にとって扱い易い商品を増やすことで利益率も上がっていくと考える。国内養殖事業も拡大の余地がある。例えば当社でも、岩手県で取り組んでいるサーモン養殖は、地元の漁協等と協力しながら行っている。残念ながら日本の沿岸水産業は徐々にシュリンクしているが、これからも養殖適地である地元の漁協や地方自治体の皆様と協力していくことで水産事業全体の利益率を上げていきたい。

水産事業は相場に左右される事業ではあることは間違いない。しかし、なるべく相場に打たれにくい事業にしていくために、国内養殖の強化や在庫回転率を上げた販売へ注力するだけでなく、水産品の食材化に取り組んでいく。水産物の加工度を高めて付加価値をつけていき、仮に相場が下がった時に食材化を推進していくことで、利益が増えることを狙っている。

水産の相場については、ある程度価格転嫁できる範囲であればプラスである。しかし、あまり行き過ぎると、お客様が水産物から離れていく危険もあるので、マイナスに働く可能性もある。22年度は水産の上げ相場は変わらないと思っているので、プラスに近いと考えるが、23年度以降、これ以上の相場上昇局面になった場合には、価格転嫁について考える必要がある。

例えばフィッシュブロックやすりみなどの国際相場品などの市況を参考にしている。

欧州と米国については既に値上げをしており、浸透についても比較的欧米はスムーズに進んでいるので、値上げによるコストアップの吸収は可能だと考えている。欧州は値上げ効果がコストアップ規模に対して不足することが見込まれるが、米国はほぼコストアップを値上げと販売増で吸収する。米国はおそらくコストアップ前の水準まで戻ってくると思う。欧州はコストアップしきれていない分について、いつの時点でカバーできるか上期中を目途に方法を見つけて取り返したいが、まだ明言はできない。日本国内については、ついこの前値上げをしたばかりなので（今年2月）、タイムラグが出ると考えている。努力はしているが、コストアップが始まる前の水準に22年度には戻らないと考えている。23年度はコストアップ前のレベルに戻っていることを期待したい。

日本では95億円のコストアップが見込まれて93億円で吸収することを想定している。北米はすでに値上げを実施しているが、コストアップがさらに進んだ場合は見直しが必要と考えられる。欧州については5月から値上げをするが、コストアップによるマイナスをカバーするには半分ぐらい足りないので、これについては走りながら考える。食品については大変苦しい状況が続くが、ほとんどのものは値上げと販売増力で吸収できると考えている。

まだコストは上がると考えている。しかし、価格も商品を選ぶ際の「品質」の大事な一つだと考えているので、価格転嫁だけでなく経営や生産の体質強化という両面で吸収していきたいと考えている。

中期経営計画の中でポートフォリオマネジメントを遂行することを明示しており、様々な数値や議論を基にして判断を下したい。その中でアイテム数を減らす、事業を整理する、という選択肢も考えられる。

アイテム数の削減や事業の見直などについては、22年度計画には含まれていない。しかし、選択肢として持っており、慎重に判断したい。原価が上がっている環境については、これをチャンスと見て、生産性や歩留まりの向上などに改めてチャレンジしていくことで、無駄なものを省くきっかけになると考えている。原価低減などの施策については、値上げと一緒に実施したいと考えている。

ある程度その分野でシェアを占めている強い商品群があり値上げを多少しても販売が大きく減るということはない、と考えている。強い商品群としては、練り製品や魚肉ソーセージ、鮭瓶、枝豆、焼きおにぎりなどである。

北米と欧州の違いについては、北米も欧州もコストはアップは致しますが、そのアップする金額の単価が、欧州は大きい。総額は欧州の方が低いが、原材料費や燃料費などの単価が北米と異なる。欧州でコストを全部吸収しようすると、製品価格が大変高額になってしまうので、半分ぐらいをカバーできる値上げをさせていただこうと考えている。それ以外の分については対応を再考している。特に欧州はウクライナ危機の影響を受けていることが単価アップに影響していると考える。米国はコストアップ幅が値上げで対応できる範囲である。

キューディッシュという商品の特徴は、冷凍保管性があり、解凍してお買い上げ頂くことで食べる時にはチルドの新鮮さなどを享受できる点である。美味しさに加えて、比較的賞味期限も長く設定できることも特徴である。保存性と商品の品質を両立させていきたい。ある程度、冷凍食品あるいはチルド食品の置き換えを進めながら事業として大きくなっていくと考える。付加価値品として利益率向上のドライバーになると考えている。

売上は直近で健康食品の通信販売が大変伸びていることなどを含めた計画としている。利益では医薬品原料の利益率が高いため同事業がキーになっている。医薬品原料は前期比で1.5倍から2倍ぐらいの売上を予測しているが、輸出分も含めて売り上げについては数値面での回答を控える。今後はEPAの米国輸出を増やし、さらに欧州への輸出を開始することが当面の課題である。

中期経営計画の中でミッションを新たに設定した。その中で、健やかな生活とサステナブルな未来を"食"を通して作っていこう、と謳っている。新規事業を作るに当たってもここが判断基準である。

新しい事業の種を作っていきたいと考えている。コストアップや為替の問題など避けて通れない問題がある中で、既存事業のブラッシュアップだけでなく、流通のプラットフォームやキューディッシュなど、新しい事業を具体的に展開したい。そのためには新しい事業を作るという社内的な機運の醸成が必要と考えている。昨年事業開発部を設置し、新しい視点での変革のようなものを植え付けて、それが風土として繋がるような形にしていきたい。