魚介が主役!寒い冬のアツアツ鍋料理
寒くなればなるほどうれしいアツアツの鍋料理。家族や仲間で鍋を囲んでおいしい時間を過ごせば、心も体もあったかい。寄せ鍋、キムチ鍋、水炊き鍋、ちゃんこ鍋、もつ鍋、トマト鍋、豆乳鍋など様々な味のバリエーションと具材を楽しむ人も増えていますね。
そんな中でも鍋の具材にぴったりなのが魚介類ではないでしょうか。魚の種類によって様々な鍋料理が郷土色豊かに存在するのも魅力。魚介の出汁がじんわり効いて、シメまで最高。今回は、そんな魚介を使った鍋の魅力に迫ります。
鍋はいつごろから食べられていた?
現代のスタイルにより近い鍋はいつの時代から食べられるようになったのでしょうか。一説によると江戸時代末期と言われています。当時の江戸の人々の多くは狭い長屋などに住んでいて、こうした住環境に重宝したのが、自由に持ち運びできる七輪です。軒先や道端などで鍋を煮込みながら食べるというスタイルが定着したのです。
ちり鍋の「ちり」って何だ!?
たら、たい、ふぐなどの白身魚に野菜や豆腐などを入れ、煮汁はとくに味付けをせず水煮した鍋料理をちり鍋と言います。淡白な味わいが人気の鍋ですが、ところで、この「ちり」ってどんな意味があるのでしょう。
ちりの由来は、沸騰した湯の中に薄切りにした新鮮な白身魚を入れると、ちりちりと縮む様子からきたとされています。
ちり鍋の主役となる魚の種類は様々なバリエーションがあります。いずれも魚種名に「ちり」を付けて呼ぶのが一般的です。例えば、たらを使った「たらちり」、たいを使った「たいちり」、ふぐを使った「ふぐちり」などがあげられます。ふぐちりは別名、「てっちり」とも呼ばれ、これはふぐの俗称で、毒が当たると死ぬことから鉄砲と呼ばれることに由来しています。
この冬一度は食べたい! おすすめ魚介鍋
日本には100種を超える鍋料理があると言われています。
全国各地の農山漁村で受け継がれた伝統的な鍋料理から、家庭で親しまれているもの。様々な鍋料理が豊かに食卓を彩っています。
近年、缶詰を使った手軽にできる鍋も流行し、常備しておける缶詰を使うことで、いつでも手軽に具材もたくさんそろえる必要もなく簡単に鍋料理をつくることができます。缶詰の缶汁は旨みもたっぷりはいっているので、美味しい出汁にもなります。ここで、おすすめの缶詰でつくる鍋をご紹介します。
韓国では定番の鍋といえるズンドゥブチゲ。日本の食卓にもすっかりおなじみですね。実は、さば缶を入れてよりおいしく、ヘルシーな魚介鍋が作れちゃいます。手軽につくれて体もポカポカ!いま話題のEPAやDHAも摂れちゃうのもおすすめの理由です。ちょっとピリ辛な定番の鍋をお手軽に作りましょう。 ●味噌で好みの味を調整する「かきの土手鍋」
広島はかきの養殖地として知られ、全国一の生産量を誇っています。この地で生まれた郷土鍋が「かきの土手鍋」。味噌を鍋の内側に土手のように塗り、かき、豆腐、白菜、春菊などを一緒に煮込みます。土手の味噌を崩しながら、好みの味をアレンジするのが特徴。かきの芳醇な味とプリッとした食感が味噌の中で調和します。
●ぶつ切りのさけを煮込む「石狩鍋」
北海道の石狩地方では江戸時代からさけ漁が盛んに行われていました。石狩鍋の起源は、漁師たちが大漁の喜びを鍋に込めて、獲れたてのさけを豪快にとり入れたのが始まりとされています。新鮮なさけのぶつ切りとあらを、キャベツや玉ねぎなどの野菜とともに煮て、味噌で味を整えます。身体を温める味噌とさけのやわらかな身が冬の寒さを吹き飛ばします。
美味しい鍋へのひと工夫
おいしさの基本は何と言っても出汁です。鍋の出汁は、大きく分けて「味噌仕立て」「薄味を付けて煮る」「主に昆布で煮てポン酢などで食べる」の3種類あります。ここでは、魚介が主役になりやすい3番目の鍋を想定して、昆布だしの簡単な取り方をご紹介します。
昆布は水で洗わず、固く絞った濡れ布巾などで表面の汚れを落とす程度にふきましょう。昆布の旨み成分であるグルタミン酸は水に溶けやすく、水で洗い流してしまわないよう注意しましょう。次に水から煮出し、ふつふつと沸いてきたら沸騰する直前に取り出します。これで十分に旨味が出ています。鍋の出汁は、魚や野菜からも旨みが出るので薄味にするのがポイントです。
次は、下ごしらえです。魚介は臭みを取りのぞくことが肝心。布巾などで汚れを取り除き、塩を振って15分ほど置き、水分をふくと臭みが取れます。アサリやハマグリなどの貝殻付きは、殻同士をこすり合わせて汚れをしっかり取りましょう。かきは片栗粉をまぶして、つぶさないようにやさしくすすぐのがコツです。
冬の定番、魚介限定のアツアツ鍋の魅力をお届けしました。本文でもご紹介しましたが、江戸時代は七輪で一人または少人数で囲むものだった鍋が、いつしか家族団らんや仲間との語らいを象徴するような料理になりました。みんなで鍋を囲み、同じ食材を口にすることで、お互いの絆が深まっていく。そんな、単なる料理を超えた文化的な側面を感じないわけにはいきません。さあ、今夜は鍋にしますか!