100年以上、変わらぬ思いとともに、
「海の恵みを、世界中の人々へ届ける」

一艘のトロール汽船からはじまったニッスイの営み。創業100年を超えた今も、
世界の海を起点とし、水産物から多様な価値を創造し続けています。

はじまりは、一艘の船。めざすのは「水における水道」

「ニッスイ」と聞くと、冷凍食品メーカーのイメージが強いかもしれません。でも実は、創業時から水産業が基幹事業の会社です。「安定して、安く、手軽に、海の恵みを世界中の人々が享受できる」「水における水道」のような会社にという壮大な夢を掲げた田村市郎が、1911年に前身の田村汽船漁業部を創業しました。

国司浩助らが「湊丸」でトロール漁業を開始

当時、日本の水産業は黎明期。一艘の船からのスタートでした。英国のスミス造船所で建造された湊丸(188総トン)。ニッスイはトロール漁業で第一歩を踏み出し、苦境といわれた時代にも、地道に汽船の数を増やし漁場を広げ、加工業へと事業を拡大、成長させていきました。

魚の価値を最大化する精神が生んだ「すりみ」

1940年代後半、北海道ではスケソウダラが最も水揚げが多い魚種でした。卵はタラコとして需要が高く市場に出回るものの、身は鮮度落ちが早く冷凍耐性が悪いことから、あまり活用されずに捨てられてしまう未利用資源でした。

船内急速冷凍魚を宣伝するポスター(1935年頃)

ニッスイでは、「足の早い」魚でも鮮度を保てるよう、獲ってすぐ海上で急速冷凍できる船や船上での加工技術を開発。スケソウダラの身の有効活用に着目し、冷凍しても品質の変わらない「すりみ」を道立水産試験場と共同開発し、事業化を成功させました。

ヨーロッパで「SURIMI(すりみ)」は、カニカマ!?

スケソウダラは緯度の高い海域に分布しており、ニッスイでは、もともとベーリング海で漁獲をしていました。そして、時代とともに変化する漁業をめぐる環境に対応。技術移転を進めた北米などの現地のグループ企業やパートナー企業とネットワークを築き、現在では年間で約4万5千トンものすりみを加工・出荷しています。

ちくわ、カニカマ、フィッシュソーセージなどの原料で、ニッスイの主力生産品でもある「白身魚のすりみ」。日本はもとより世界に広く知れ渡っており、ヨーロッパではカニカマが「SURIMI」という名で親しまれています。

NORDIC SEAFOOD社の商品「Surimi Sticks」

欧米で「白身魚フライ」人気が高まる

一方近年では、健康志向の高まりとともにスケソウダラは「すり身」だけでなく、3枚におろして皮を取ったフィレなどの需要が、特に欧米で高まっています。フィッシュバーガーやフィッシュフライに使われるフィレは、北米だけでなくヨーロッパ向けにも販売されています。

ニッスイは、ヨーロッパ、アジア、オセアニア、北米、中南米まで、グループ会社を世界各地に展開し、各地域での連携とグループ全体のグローバルな連携を行っています。着実に事業を拡大し、ニッスイグループは世界で70社を超える巨大グループに。「海の恵みを、世界中の人々に届ける」という精神を胸に、おいしく良質なシーフードを届けるべく、ニッスイは今日も海と向き合い続けています。

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