宇宙からやってきた!?
ハサップ(HACCP)知ってる?

1971年アメリカで発表されたHACCP。いまや世界各国で
導入されている食の安全のための衛生管理手法のひとつです。

人類初の月面探査「アポロ計画」が生んだ副産物

ハサップ(HACCP)は、人類が未知なる宇宙に挑戦する過程で生まれました。外界から隔離され、宇宙船内で過ごす宇宙飛行士たちの食事。その安全性を万全にするため、NASA(アメリカ航空宇宙局)や食品メーカーなどが構想し、1971年に発表したのです。

その後、1980〜1990年代にアメリカで発生した腸管出血性大腸菌O157による集団食中毒事件をきっかけに、食品安全対策として導入されていきます。1993年、国際食品規格の策定などを行うCodex委員会(WHOとFAO*の合同委員会)によって、食品衛生一般原則にハサップ(HACCP)が加えられ、世界各国に広まりました。

*WHO(World Health Organization:世界保健機関)、FAO(Food and Agriculture Organization:国際連合食糧農業機関)

HACCPとは?食品を作る重要な工程を管理して安全性を万全にする

では、これまでの管理とハサップ(HACCP)はどこが違うのでしょうか? 従来の管理は、できあがった食品の中からいくつかを検査して安全であることを確認する「抜き取り検査」が主流でした。ただ、このやり方では、検査をしていない他の食品が本当に安全なのかどうか分かりません。

完成品から、いくつかを確認。検査していないものが発生する

検査をしていない安全でない食品を食べて、宇宙船の中で食中毒になったら大変です。もっと確実に安全であることを確認するやり方として考え出されたのがハサップ(HACCP)でした。

危害につながる特に重要な工程を連続的に監視・記録

ハサップ(HACCP)では、上の図のように食品を作る重要な工程を連続的に監視し、安全が確認できたものだけを次の工程に進めます。常に安全が確認されたものを次の工程に進めることで、できあがる食品の安全性を高めているのです。

2020年HACCP制度化! 消費者の関心も高まる

数値出典:東京都 報道資料/平成31年 令和元年(2019年)

2018年6月、日本でも食品衛生法が改正され、2020年にハサップ(HACCP)が制度化されます。レストランや居酒屋等、食品を扱う全ての事業者に「HACCPに沿った衛生管理」が求められるようになりました。

東京都が2019年9月に行った「食品の安全性について」の調査では、ハサップ(HACCP)に沿った衛生管理を実施しているお店や工場などの施設への印象について「提供される食品の安全性が高く安心感がある」「できるだけHACCPによる衛生管理を実施していることが見える化(第三者認証取得等)されている施設を利用したいと思う」「施設や従業員に清潔感を感じる」といった好意的な回答が多い結果に。制度化も後押しし、消費者からの注目も徐々に高まっているようです。

ニッスイでは、施設・設備、従業員の衛生管理などの一般的衛生管理に加え、2000年には既にハサップ(HACCP)の考え方を取り入れたニッスイ独自の品質保証基準を策定し、生産工場の品質管理に取り入れています。

食品安全の国際規格「FSSC22000」認証取得を推進

ニッスイはハサップ(HACCP)を核とし、さらなるステップアップとして、食品安全マネジメントシステムの国際規格「FSSC22000」の認証取得を推進。2019年10月時点で17の生産拠点が認証を取得しました。

「FSSC22000」は、食の安全に取り組む国際的な食品業界ネットワークGFSI(Global Food Safety Initiative)に承認されたグローバルスタンダード。ハサップ(HACCP)、「FSSC22000」などの食品安全のキーワードや取り組みを知っていただき、安全・安心な食品の選定にお役立てください。

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