Date of interview

July 1-2, 2025

Location

Seattle

u.s.a #2

(アメリカ後編)

同じ志を持つ仲間に 海を越えて会いに行ってみた!

  • u.s.a #2
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VOLUME 2

白身魚フライ

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Date of interview

July 1-2, 2025

Location

Seattle

Introduction
前編では、シアトルの活気あふれる市場や人々の食生活をじかに見ることで、シーフードとなじみ深い都市の営みを知ることができた。そんな豊かな水産資源の源泉はどこから来るのか。後編ではシアトル近郊のレドモンドとアラスカ州ダッチハーバーを拠点にして、世界中に白身魚のスケソウダラを届けるニッスイグループのユニシー社を訪れた。そこにはローカルだけではないグローバルな側面が存在した。

意外と知られていない?スケソウダラのこと。

フィッシュ&チップスは、シアトルのシーフードレストランでもおなじみだ。

日本では比較的なじみのあるタラ類。そのタラ類の一種であるスケソウダラは、すり身という形でちくわなどのねり製品やフィッシュソーセージ・カニカマに加工され、食卓でもなじみ深い。スケソウダラは北太平洋全域にわたり、オレゴン沿岸からベーリング海、カムチャツカ半島・オホーツク海、日本の東北以北の日本海側・太平洋側で広く漁獲されている。アメリカ最北端のアラスカ州はその漁業・加工が主要産業のひとつになっている。

そこでスケソウダラの加工を行っているのがニッスイグループのユニシー社だ。アメリカの漁業者が漁獲した白身魚を調達して加工し、世界中に届けるユニシー社とはどんな会社なのか。そこで出会ったのは海の男のように熱い信念を持つ一人のアメリカ人だった。

全米で白身魚製品を売るのは、砂漠で砂を売るより難しい?

シアトルから車を少し走らせてレドモンドにあるユニシー社のオフィスを訪問。出迎えてくれたのは笑顔がチャーミングなトム・エンロウ社長。まずアメリカにおける魚食事情について話を聞いてみた。トム社長自身の食の好みは魚中心のようだが、アメリカ全土を見れば肉中心だ。そんなアメリカで魚を食べる習慣を広げるために何が必要なのか。「シアトルにいると世界中のシーフードを見ることができる。しかしアメリカ中西部のスーパーマーケットに行ってみるとほとんど置いていない。あっても冷凍だ」。アメリカでは以前よりは魚食が広がっているようにも聞くが、まだ一部でしかないのだろう。

魚好きのトム社長は続けて語る。「普及のためには、まず手軽に調理できること。普段食べている調理法に似ているフィッシュフライはそのきっかけだ。シーフードになじみのない人たちに、持続可能で高品質なタンパク質であるシーフードを届けたいよ」。

伝統的に肉を食べてきた国民に魚食を広めることは容易な道のりではないはず。それでもトム社長は、地域に根差した食文化との融和を生活者視点で考え、全米中で魚が日常的に食べられる未来を見据えていた。

アラスカ州ダッチハーバーの工場について説明するトム社長。自然に囲まれていることがよくわかる。

おいしい白身魚を、ずっと。その願いは世界共通。

いま当たり前に食べられている魚を、100年後も食べ続けていられるだろうか。地球環境の変化を受けやすい北極に近いアラスカ州。ユニシー社の工場は、アラスカ半島の先、アリューシャン列島のひとつのウナラスカにあるダッチハーバーに位置する。

同社の社長として、どんな未来を思い描いているのか話を聞いた。「アラスカ州を巡る海域は、世界で最も厳格な水産資源管理がなされている。海の問題は一国だけの問題ではないんだ。私たちユニシー社やニッスイグループの企業こそが、世界中の漁業をよりよく管理するためにさまざまな国際的な取り組みを支援していくことが必要。健やかな海を保つためにとても重要なことだ」。さらに「ダッチハーバーの水産加工場では、シーズンを通じて従業員が安定的に働くことができる環境を構築している。そのことが持続可能な水産資源を守ることにもつながるとても大切なこと」と語る。

海を見て、魚を見て、そして人を見ている。未来に魚をつないでいくのだという強い志を持つリーダーがいることが何とも頼もしい。

いただきながら大切に守る。それは海の恵みを扱う責任。

世界を旅するスケソウダラ。

ベーリング海でとれた白身魚のスケソウダラは、加工されてアメリカ国内だけでなく、アジア諸国にも届けられている。こうした世界規模のサプライチェーンの実現を支えているのが“ニッスイグローバルリンクス”だ。それは独自の事業を展開している世界各地の会社が互いに連携するニッスイのグローバルグループのこと。ユニシー社もその一員だ。

トム社長はニッスイグローバルリンクスへの思いをこう語る。「私たちユニシー社は水産資源の調達と加工を担っていて、グローバルバリューチェーンの基盤であり根幹を担っていると自負している。ニッスイグローバルリンクスは私たちとは異なる機能を持つ世界中のグループ会社がネットワークを組み、相互のシナジーで付加価値の高い水産資源を届けることができる。情報、戦略、研究、開発にとって本当に重要で、他に類を見ないとてもユニークな組織体だ」。

地域に根付く食文化をリスペクトして、それぞれの得意を尊重し合えるから手を組む。ひとりじゃないということは、広い海を航海する上でなんと頼もしいことだろう。

グローバルリンクス会議後は、みんなで食事会。世界中から仲間が集う日は、つながりを実感する日だ。

拝啓、同じ志を持つ仲間たちへ。

ニッスイグループでは、年に1回、日本でニッスイグローバルリンクスのメンバーが集まり、重要なテーマについて議論する会議が開かれている。トム社長自身、この会議でのリアルな交流ではさまざまな刺激を得ていると言う。「毎年日本に集まって行われている会議は本当に楽しみだ。世界の市場で何が起こっているのか、そこでより深い洞察を得られることは大きなメリット。直接会って話すことが重要で、何より世界中の仲間たちと会うことが楽しいんだ」。トム社長の顔がほころぶ。

ニッスイグローバルリンクスには、単なるグループネットワーク以上のまるでファミリーのように強固な絆がある。その絆を生み出す原動力こそ、ニッスイの「人々により良い食を届けたい」という志への共感だ。

 世界に目を向けると、新たな発見がある。出会いがある。旅はいろいろなことを教えてくれる。世界のGOOD FOODS を探す旅は、まだまだ始まったばかりだ。

自然豊かなシアトルとアラスカ州から、今日もGOOD FOODSを届けている。

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