- Introduction
- 今回の舞台は、ベトナム・ホーチミン。今、この都市の子どもたちの間で、チルド(冷蔵)のカニカマが大人気だという。ニッスイも現地で3種類の味を商品展開している。聞くところによると、それはどうやら「おやつ」として気軽に食べられているそう。いったいなぜか?

ベトナム 前編
ベトナムおやつの新定番。 その正体は、ニッスイのカニカマ?
(カニカマ)
#1
Date of interview
June 11-13, 2025
Location
Ho Chi Minh
vietnam #1
(ベトナム前編)
VOLUME 1
カニカマ
POINT
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Date of interview
June 11-13, 2025
Location
Ho Chi Minh
古き良き暮らしの風景を残しつつ、ある場所では高層ビルが立ち並び、またある場所ではみずみずしい緑が広がる。今、ホーチミンでは、いたるところに成長の息吹が感じられる。
そんな変化の真っただ中にある都市で、食のマーケットにも意外な変化がみられている。子どもたちを中心とした、カニカマ人気。ここホーチミンでは、今、チルドのカニカマが子どもたちから熱い視線を浴びている。
ベトナムでは元々、冷凍のカニカマが主流。大容量で、鍋の具材として使用されることが多い。一方、チルドのカニカマは片手で食べられるスティックタイプで、いつでも気軽に食べられる点が魅力だ。
ニッスイが現地で展開するカニカマは、日本の食卓でもなじみのあるカニカマを、ベトナム市場向けに開発したもの。2023年にホーチミンで販売開始されて以来好評で、今や市内のコンビニに必ずと言っていいほど置いてある。価格的には、他のおやつと大差ない。それなのに、多くの子どもたちのおやつにカニカマが選ばれている。いったいなぜだろう?
ホーチミンでの意外なカニカマ人気。その謎をひも解くヒントが、彼らの食文化にありそうだ。というのも、そもそもベトナムでは、魚のすり身製品が日常的に食べられている。
家庭では、スープなどの料理に冷凍のすり身製品を使うことが多い。街中で魚のすり身揚げを売る屋台も珍しくない。また、コンビニの一部店舗では通年でおでんが売られており、すり身を使った種がかなり多い。カニカマをはじめ、サーモンの魚肉団子や、ピリ辛さつま揚げ、バジル風味かまぼこなど。すり身製品は、思った以上に人々の暮らしに根付いているようだ。
しかし聞くところによると、子どもたちの間では、ニッスイのカニカマはおかずではなく、あくまで「おやつ」として食べられているという。さらに詳しい情報を探るべく、商品が置かれているコンビニのマネジャーに話を伺った。
「正直、最初は売れるか不安でした」ホーチミン市内に店舗を構えるコンビニのマネジャーは、そう話してくれた。ただ、その不安はすぐに杞憂に終わった。「お店でカニカマを取り扱う前は、おやつはポテトチップスやゼリーが人気でした。今ではそれと同じくらい、あるいはそれを上回る人気商品になっています」
購入していくのは、学校帰りの子どもがほとんどだという。ベトナムでコンビニを利用するのは、若年層が中心。そのため、意図して学校の近くに店舗を構えることが多いそう。
カニカマの売り上げがいいのは、単においしいからというだけではない。それが子どもたちの日常に寄り添うことのできる食べ物であることも、理由のひとつだ。
カニカマは、本当に子どもたちの「新しいおやつの定番」になっているのか。次に話を聞かせてもらったのは、普段、実際にコンビニでチルドのカニカマを買って食べているというタンくん(11歳)とチャンさん(10歳)。
チャンさん
やっぱり一番はカニカマ!あとライスペーパーとか、ゼリーも食べるわ。
タンくん
ぼくもカニカマか、屋台のすり身揚げかな。
チャンさん
最初にコンビニで見つけて、ためしに買ってみたらおいしかったから、そこからよく食べるようになったの。
タンくん
ぼくは学校の友だちが食べているのをみて、食べてみたいと思ったんだ。
タンくん
うん、みんなけっこう食べているよ。
チャンさん
たまに学校にもってきて食べている友だちもいるわ。
チャンさん
味が好き!やわらかくて食べやすいのもいいわ。
タンくん
買ってからすぐに食べられるのも好きなところかも。
これまでは、冷凍が主流だったベトナムのカニカマ。それが今では、いつでもどこでも食べられる。ときには下校中に。ときには友だちとおしゃべりしながら。学校が終わったタイミングでコンビニに寄って、チルドのカニカマを手にする。それはこれまでになかった、子どもたちにとっての新しい喜びになっている。
子どもの間で大人気。そのことについて、大人たちはどう思っているのだろう。小学生の子どもがいるお母さんたちの声を聞いてみた。
「子どもに食べさせるものは普段から気を遣うようにしているので、おやつの選択肢としてこういうヘルシーな商品が出てきたことはありがたいです」時にはパッケージ裏の成分表示もチェックするというお母さん。カニカマは他のお菓子に比べ、糖質控えめなのもうれしいポイントだという。
一方で、料理にはこれまで通り冷凍のカニカマを使っているそう。大容量で長期保存できる冷凍タイプには、使いやすいという良さがある。ちなみに、ご自身もおやつにカニカマを食べることがあるか聞いてみた。「ときどき食べますよ」「麻辣(マーラー)味が好きです」お母さんたちが子どもの頃にはなかった、新しいおやつの選択肢。大人の間でも、カニカマ人気は広がりつつある。
さまざまな人に話を聞いてみると、カニカマという商品はベトナムの食文化や国民性にとてもマッチしていた。新しいものへの関心の高さや、すり身とのなじみの深さ。屋台文化と、その場ですぐに食べられることの親和性もそのひとつ。
最後に、チルドのカニカマ商品の「味」について。現状の味のバリエーションは、プレーン味・チーズ味・麻辣味の3種類。プレーン味とチーズ味は、塩味が抑えられ、やさしい甘さがある。麻辣味はスパイシーな味わいで、こちらもその奥にほんのり甘みが感じられる。
ベトナム後編では、それら3種類の中でも後発の商品、麻辣味のカニカマの開発秘話に迫り、カニカマ人気の背景をさらに深掘りしていく。
ベトナム 前編
(カニカマ)
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ベトナム 後編
(カニカマ)
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アメリカ 前編
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シンガポール 前編
(フィッシュバーガー)
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