ニッスイグループの養殖本マグロ「産地加工」の取組み

2019年01月29日

日本水産株式会社(代表取締役 社長執行役員 的埜 明世、東京都港区)の本マグロ養殖を手掛けるグループ企業である金子産業(株)(注1)、西南水産(株)(注2)では、水揚げ時の本マグロの良好な鮮度をより長く維持するための加工技術の開発に取組み、実用化に成功しています。

生鮮の本マグロは、水揚げ時の鮮度低下や色沢の劣化が著しく、商品価値が損なわれやすいことが取扱い上の難点となっています。
両社では、養殖本マグロを水揚げする産地で、水揚げ時の高い鮮度を保ったまま加工・包装してチルド配送でお届けする「産地加工」に取組んでいます。この「産地加工」と各社独自の加工技術により、品質と鮮度、おいしさ、使いやすさを重視した養殖マグロ加工品の最適なサプライチェーンを構築しています。

販売先は、外食・ホテル・量販店などで、生鮮マグロの加工に人手をかけられない、生鮮マグロを小ロットで導入したいなど、これまで生鮮マグロの取扱いに躊躇していたお客様のニーズにお応えしています。

Ⅰ 金子産業の取組み

同社が2018年5月より販売開始した本マグロ加工品「鮪錦(つなにしき)®」は、同社の長崎県の6つの養殖場で育成した本マグロを、水揚げ後徹底した温度管理のもと唐津の食品工場に搬入、引き続き加工工程でも温度管理を徹底し、特殊フィルムによりサク単位で個包装して、出荷しています。同社は、本マグロの養殖から飼料の生産、加工、保管、流通までの自社一貫体制を整備しており、徹底した鮮度管理・品質管理を可能としていいます。
特に水揚げ以降の温度管理技術は同社が独自に開発したもので、現在、特許出願中です。この技術に、最適な水揚げ方法や魚体の冷却方法を組み合わせて、通常品が加工日から3日程度の消費期限のところ、同品はチルド保管で加工日の翌日から7日間と長く、生鮮マグロのロングライフチルド(LLC)を実現しました。
2019年度は、同社の養殖マグロの全体出荷量30,000本のうち、10,000本を「鮪錦」として販売する計画です。

金子産業 ロングライフチルド養殖本マグロ
「鮪錦®」1kg

同 ラベル

Ⅱ 西南水産の取組み

同社の本マグロ加工品「喜鮪(きつな)®」は、水揚げから加工、パッケージングに至るまでの工程に独自の工夫を凝らしています。これによって、通常のマグロに比べてマグロ本来のうま味(イノシン酸)が保持され、さらに色持ちも優れています。旨み・色調の維持技術については、いずれについても特許出願中です。無開封の氷冷で製造日から7日間の保存が可能です。
2017年4月より上浦事業所(大分県佐伯市)で開始、2018年3月に甑島(こしきじま)事業所(鹿児島県薩摩川内市)にも拡大しました。
この加工は、同社の養殖本マグロ「喜鮪®」の一部で、また完全養殖本マグロ「喜鮪®金ラベル」の一部でも活用されています。
この加工による製品として、2019年度は10,000本の出荷を計画しています。

西南水産 養殖本マグロ「喜鮪®」

同 ラベル
(通常養殖)

「喜鮪®」金ラベル
(完全養殖)

注1 金子産業株式会社 会社概要

所在地(事業本部) 佐賀県唐津市
代表者 代表取締役社長 金田 進
事業内容 魚類養殖、水産物加工販売、飼料生産販売、冷蔵倉庫業など
設立 1987年4月(2012年4月よりニッスイグループ企業)
資本金 9,000万円
株主 日本水産株式会社100%
事業所 事業本部、黒島など養殖拠点6か所、鷹島栽培センター

注2 西南水産株式会社 会社概要

所在地(事業本部) 大分県佐伯市
代表者 代表取締役社長 山瀬 茂継
事業内容 魚類養殖、水産物販売
設立 1991年10月(2006年5月よりニッスイグループ企業)
資本金 15,000万円
株主 日本水産株式会社100%
事業所 上浦・奄美・甑島など養殖拠点7か所
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