ニッスイの健康経営、2022年度の進捗

2022年12月12日

株式会社ニッスイ(代表取締役 社長執行役員 浜田 晋吾、東京都港区)では、「健康経営 (*1)」宣言」(2016年度制定、*2)に基づき2017年度より健康経営に着手して以来、本年度で6年目となりました。これまでの活動の結果、2019~22年の4年連続で経済産業省と東京証券取引所による「健康経営銘柄」に選定されています。

この春発表した2030年に向けた長期ビジョン「Good Foods 2030」において、健康経営を人財価値向上の重要施策のひとつに位置づけています(*3)。
その実現に向け中期経営計画「Good Foods Recipe1」(2022~24年度)では、個人に向けて「個人の健康促進」「私生活との両立支援」、職場に向けては「働きやすくやりがいのある職場づくり」に取り組んでいます。
初年度2022年度は「個人の健康促進」の施策として、「EPA(*4)/AA比(*5)の向上」「肥満率の改善」「喫煙率の低減」を引き続き実施しました。
またこれに先立ち、健康管理支援システム「WellBis(ウェルビス、*6)」を導入、会社や個人のパソコン・スマートフォンから、健康診断結果や事後措置に関する情報の閲覧、食事・歩数なとの記録やAIによる健康指数の自動解析などを可能にし、健康管理をデジタル面でサポートする機能を充実しました。

(1)「EPA/AA比」の向上
2016年度より、全従業員の定期健康診断の検査項目に、心筋梗塞・脳梗塞などの循環器系疾患の発症との関連が示唆される指標であるEPA/AA比を取り入れ、全社平均0.4を目標値としています。これは、ニッスイの主要事業であるファインケミカル事業の中核をなすEPAを社員の生活習慣病予防に役立てるニッスイならではの活動で、今年度も継続して実施しました。
本年度の健康診断によるEPA/AA測定結果と解析(城西大学薬学部・元教授の小林悟氏による、*7)は、以下のとおりです。

●EPA/AA比の全社平均は、2016~18年度は目標に向けて上昇したものの、以降はコロナ禍の影響を受け21年度の0.309まで漸次低下傾向となりましたが、22年度は0.315と微増しました。コロナ禍による「巣ごもり」などの生活環境によって変化した食生活が、以前の状態に戻りつつあることに起因するものと推測されます。
●年代別の平均EPA/AA比は、年代が高くなるほど増加傾向にあり、30歳代と40歳代間の比較および40歳代と50歳代間の比較を除くすべての年代間の比較で、統計的な有意差が認められています。また、2016年以降6年間の各検査値の変化も含めて、心筋梗塞・脳梗塞の発症するリスクの変動はいずれも減少が認められました。
●今後、生活環境が変化する中であってもEPAの適切な摂取を維持することが課題として挙げられます。

また、これまで同様にEPA/AA比の改善に取り組む「EPAチャレンジ」も実施、定期健康診断前にEPAを多く含むニッスイ商品を希望者に無償で提供しました。参加者604名のEPA/AA比は、前年の比較で参加者平均は0.22ポイント改善されました。
健康診断によるEPA/AA比の測定結果は個人にフィードバックしたほか、部署ごとに集計して「健康番付」を作成しました。

2022年 EPA/AA比健康番付

2022年 EPA/AA比健康番付

あわせて、従業員の魚食を推進するため、対象期間中に摂食した魚メニューを撮影して投稿すると、投稿画像累計件数100枚ごとに抽選で景品をプレゼントする「お魚食推進キャンペーン」を新企画として実施しました。5~6月の2か月間で1,248枚の画像が集まりました。
またEPA摂取の一助となるよう、EPA製品の社販体制を整備しました。

(2)肥満率の改善
ニッスイの従業員の肥満率はこれまで漸減傾向にあり、21年度は全国平均並みとなりましたが、今年も引き続き取り組みました。
昨年好評裡に終了した「カラダ改善コンテスト」の一部を変更して、「第2回カラダ改善コンテスト」を実施しました。3~5人1チームとなって5~7月の2か月間で、生活習慣に運動やバランスの取れた食事を取り入れて、今年度は筋肉率増加・体脂肪量減・歩数をポイント化してチーム間で競いあいました。参加者に自社製品の速筋タンパク商品を無償提供してサポートするとともに、チームでの表彰のほか個人賞・努力賞や速筋タンパク活用の特別賞を新設しました。
その結果、特定保健指導の対象となりうるBMI25以上の参加者では95名(77.9%)のBMI値が改善しました。完遂者315名のうち224名の筋肉率が増加、体重の平均減少量は1.6kg、1日の平均歩数は11,145歩となりました。
また、付帯企画として5月に「RIZAP式筋力UPトレーニング」セミナーをオンラインで実施しました。
そのほか、定期健康診断時期にあわせて生活習慣を見直すプラス行動を支援する取り組み「健康+(プラス)ストレージキャンペーン」も継続しました。健康増進や生活改善につながるコースを選択して60日間での達成目標を設定し、達成者には賞金もしくは健康支援グッズを贈呈しました。2022年度は361名が参加し、77%の従業員が目標を達成しました。
 定期健康診断結果にもとづく産業保健スタッフによる保健指導の強化や、食堂を併設する事業所では食生活改善活動も継続して実施しました。

(3)喫煙率の低減
これまでの禁煙の取組みによりニッスイ従業員の喫煙率は漸減傾向となっていますが、まだ全国平均より高い状況にあり、引き続き対策に取組んだ結果、前年から1.3%減少して21.4%となりました。
2023年3月1日に開始する「365日就業時間禁煙化」に向けて、以下の従来の施策を継続するとともに、今年はこれらに追加して9月より毎週金曜日の就業時間中も禁煙としました。
□毎週水曜日の就業時間中を禁煙とする「禁煙デー」
□毎月第2週の1週間を禁煙とする「禁煙ウィーク」

禁煙を呼びかける2022年「ニッスイ禁煙DAYS」ポスター

禁煙を呼びかける2022年「ニッスイ禁煙DAYS」ポスター

また昨年・一昨年に引き続き、「世界禁煙デー」にあたる5月31日を初日として6月6日までの1週間、全社一斉禁煙を実施しました。あわせて禁煙外来治療への補助にも取組みました。

(4)こころの健康サポート
ニッスイではストレスチェックが法令義務化前の2011年から「ココロの健康診断(ストレスチェック)」を年1回実施しメンタルヘルスの向上に積極的に取り組んでいます。今年も6月に実施した結果、高ストレスと判定された部署については人事部を交えた意見交換会を通じ、それぞれの職場に潜在するストレス源を究明し、具体的な職場環境の改善活動につなげています。
また、ハラスメント対策として、8月には無意識のうちにパワハラととられかねない行為につながる可能性がある課長を対象に、自身のハラスメント傾向チェックを実施、自らの言動傾向を見つめ直し自制心と自己コントロールを促すとともに、注意すべき行動を過去判例等から学ぶ研修を9月に実施しました。

(5)健康UPセミナーの開催
従業員の健康に関する意識を高め、自身の行動変容につなげることを目的に2020年度より実施しており、今年も継続しました。これまでに「速筋タンパクとEPA」(5月)「セルフケアとメンタルヘルス」(9月)を実施、延べ862人が参加しました。


  1. (*1) 「健康経営」は、NPO法人健康経営研究会の登録商標です。
  2. (*2) ニッスイの健康宣言
    従業員が「能力を十分に発揮できること」「従業員とその家族のQOL(生活の質)の向上」を目指して、従業員の心と体の健康を積極的にサポートすることにより、多様な人財が健康で能力を発揮できる環境を整備し、生産性向上につなげることを企図しています。
  3. (*3) 長期ビジョンにおける健康経営
    今年度より着手している長期ビジョン「Good Foods 2030」では、主要な取組みのひとつである「サステナビリティ経営推進」により、経済価値・環境価値・社会価値・人財価値の向上を目指しています。健康経営は人財価値向上の施策のひとつと位置づけており、2030年のありたい姿として、健康経営の実現、すなわち「一人ひとりが十分に能力を発揮できる姿」「従業員とその家族の生活の質の向上」の実現により、会社としてのさらなる成果向上に資する状態を目指します。
  4. (*4) EPA
    EPA(エイコサペンタエン酸)はイワシなどの魚油に含まれる成分のひとつで、オメガ3系の必須脂肪酸の一種ですが、体内でほとんど生成することができないため、毎日の食生活を通じて摂取する必要があります。
    EPAは、心疾患リスクの軽減や血中中性脂肪の低下、抗炎症などのさまざまな作用が認められています。1990年には閉塞性動脈硬化症、1994年には高脂血症の治療薬として認可されました。
    なおニッスイでは、肉中心の食生活を送る現代人に向け、肉の日(29日)の翌日の30日に青魚のEPAを摂取すること推奨し、バランスの取れた食生活を提案するため、毎月30日を「EPAの日」として一般社団法人日本記念日協会に登録、認定されました。
  5. (*5) EPA/AA比
    健康を維持するEPAの機能についてはすでに多くのことが明らかにされていますが、今日、特に注目されているのが、EPAとAA(アラキドン酸)の体内バランスを示す比率「EPA/AA比」です。
    AAは必須脂肪酸ですが、肉や植物油(リノール酸)の摂取に偏った食生活を続けていると体内で増えて炎症を促進し、動脈硬化を起こしやすい体質にするものです。一方EPAは、炎症を抑制し動脈硬化が起こりにくい体質にします。
    EPA/AA比が高いと心血管疾患による死亡率が低いことが発表され(九州大学大学院医学研究院による「久山町研究」、Atherosclerosis 231 (2013) 261-267)、EPA/AA比があらためて注目されています。
  6. (*6) 「WellBis(ウェルビス)」
    一般財団法人日本予防医学協会が提供する健康管理支援システムで、健康診断結果をパソコンやスマートフォンで確認できる、ウェブ閲覧ツールです。
  7. (*7) 解析対象者数は2.122人(2016年)、2,300人(2017年)、2,267人(2018年)、2,309人(2019年)、2,382人(2020年)、2,455人(2021年)、2,458人(2022年)

以 上

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