黒瀬水産㈱参加「水素燃料電池を導入した養殖給餌漁船の開発と実証」事業が水産庁「養殖業シナジービジネス創出事業」に採択

2023年07月31日

 株式会社ニッスイ(代表取締役 社長執行役員 浜田 晋吾、東京都港区)のグループ企業でブリおよびカンパチの養殖事業を営む黒瀬水産株式会社(代表取締役 熊倉 直樹、宮崎県串間市)が参加する、「魚類養殖における水素燃料電池を導入した養殖給餌漁船の開発と実証」(以下「本事業」)が、水産庁の「養殖業シナジービジネス創出事業」に採択され、7月26日に実施が確定しました。

 本事業は、一般社団法人海洋水産システム協会(会長 森 高志、東京都中央区)を代表機関とし、国立研究開発法人水産研究・教育機構水産技術研究所(所長 青野 英明、長崎県長崎市)と黒瀬水産の3者でコンソーシアムを設立して実施します。

■背景
 2015年のパリ協定締結後、各国で温室効果ガス(GHG)の排出削減に向けた施策が進められています。わが国でも2050年を目標とするゼロエミッションに向けて、政府の「みどりの食料システム戦略」などにおいて具体的な対策が示されています。
 養殖業では、漁船からのGHG排出量の削減が、持続的な水産業を構築するうえで重要な施策とされています。

■本事業の概要
 本事業は、養殖業の成長産業化・脱炭素化に向けてカーボンニュートラルな養殖業への転換を推進するため、養殖作業に従事する漁船の動力源を化石燃料から水素などの非化石燃料に転換することを目的に、水素燃料電池を搭載した養殖給餌船の技術開発、建造、現場での実証実験を行います。

■事業目的と内容
●水素燃料電池をエネルギー源とする養殖給餌漁船の開発
 水素燃料電池漁船のエネルギーシミュレーションにより、給餌などの養殖作業を確保する機器選定・配置した船型とし、「水素燃料電池船の安全ガイドライン」に基づく水素燃料電池を動力源とした養殖給餌船を開発します。
 実証船は、16トン型、推進出力250キロワットの給餌養殖漁船を建造予定です。
●実証実験
 約90日の実証実験を通じて、問題なく運航や給餌作業が実施できるかの実用性の検討や、航続距離・船速・操業可能時間などのデータを収集、既存船との経済性の比較など、今後の水素燃料電池船導入に向けた課題の抽出と整理を行います。

■事業期間と計画
2023~25年度の3年間
・1年目に、事業計画の検討、船型性能試験、リスク評価のうえ建造仕様書を作成して建造を開始。
・2年目に、建造と建造段階のリスク評価を実施。
・3年目に、最終リスク評価を経て竣工、その後黒瀬水産串間漁場で実証実験を行う。

黒瀬水産で現在使用されている給餌船。これを水素燃料電池船とすることを検討する。手前はブリを育成しているいけす

 ニッスイでは、2030年に向けた長期ビジョン「Good Foods 2030」において、サステナビリティを企業価値創造の主要施策に位置づけ、その重点テーマのひとつに「気候変動への対応と海洋環境の保全」を挙げ、CO2排出量の削減に取り組んでいます。
 今後も、本事業のような新しい技術開発に積極的に取り組んでいきます。

【黒瀬水産株式会社 会社概要】
本社所在地:宮崎県串間市西浜2-15-4
代 表 者:代表取締役社長 熊倉 直樹
設 立:2004年1月8日
資 本 金:4億9,800万円
株 主:株式会社ニッスイ100%
事 業 内 容:ブリ・カンパチなどの養殖・加工・販売
事 業 所:本社・加工場・養殖場(宮崎県串間市)、延岡事業所(宮崎県延岡市)、
    内之浦事業所(鹿児島県肝属(きもつき)郡)、鹿屋事業所(鹿児島県鹿屋市)、
    笠沙事業所(鹿児島県南さつま市)、頴娃(えい)種苗センター(鹿児島県南九州市)

以上

  • X(twitter)
  • LINE