Date of interview

June 17-22, 2026

Location

Bretagne

france #2

(フランス後編)

食にこだわるフランスの職人気質と
ニッスイのまなざし。

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VOLUME 2

白身魚フライ

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Date of interview

June 17-22, 2026

Location

Bretagne

Introduction
フランスの食文化の一端に触れたパリから、一路フランス北西部のブルターニュ地方へ。チルドの白身魚フライを製造しフランス全土に販売しているニッスイグループのシテ・マリン社の拠点がある。そこには食べることへのこだわりをも超える、つくることへのこだわりが存在していた。

独自の歴史文化が息づくブルターニュへ。

フランス北西部に位置するブルターニュ地方。そこはイギリスにほど近い大西洋に面した半島で、豊かな自然と独特の歴史・文化を持つ地域として知られている。農業や漁業が盛んな地域でもあり特産物もたくさんある。そば粉のガレットやりんごを発酵させたシードルなど、日本でも知られている特産品も多い。特に乳製品の有塩バターを使ったバタークッキーや焼き菓子は幸せな気分にさせてくれるおいしさだ。

ブルターニュの街並み
パリからブルターニュへ。ゆっくりと穏やかな時間が流れている。

そんな自然豊かなブルターニュ地方にニッスイグループのシテ・マリン社の拠点がある。のどかな土地の風景や特産品も魅力的だが、ものづくりに掛ける情熱を持つブルターニュ気質に出会うことになった。

潜入!工場で製造していたのは
白身魚の新しい価値だった。

ルターニュ地方ケルビニャックの本社
ブルターニュ地方ケルビニャックの本社を訪問。工場も併設してある。

パリで出会ったカップルが食べていた、あのチルドの白身魚フライ。一体どのように製造されているのか。そこには徹底した食へのこだわりが詰まっていた。

原料である白身魚の品質へのこだわりからまず違う。良質な漁場であるアメリカ最北端のアラスカ州をはじめ世界各地から調達した白身魚は、徹底した品質管理をクリアしなければ決してシテ・マリン社の白身魚フライになることはできない。製造工程にも工夫がある。白身魚に衣を付けて揚げた後、さらに独自の製法でひと手間加えて仕上げる。これにより、家庭ではオーブンでさっと調理するだけで、手軽に出来立てのおいしさを楽しめるようになっている。

冷凍品に比べてオーブンで調理する時間が短いことは、忙しい現代人にとって価値だ。しかし単なる時短ということではないのかもしれない。大切な人と食事をする時間が生まれるということ。おいしく簡単につくれるという価値こそ、簡単にはつくれない。オーブンよりも熱い生活者への思いが、白身魚の新しい価値を生み出していた。

ブルターニュ地方に広く分布するヒースの花(和名:エリカ)
ブルターニュ地方に広く分布するヒースの花(和名:エリカ)。淡い紫色が美しい。

余談だがブルターニュの街や同社の工場内を歩いていると、花が多いことに気がつく。自然と共存していることがよくわかる。売り物ではないが工場の敷地内で採取したというハチミツをいただいたが、そんなところにも自然との共生を意識する心が感じられる。

創業の志を受け継ぐ“チルド”という加工技術。

生産ラインの様子
生産ラインの先には食べる人がいる。おいしさを届けるまなざしは真剣だ。

シテ・マリン社には1990年の創業時から白身魚フライをチルドで製造・販売してきた歴史がある。チルドの白身魚フライのシェアはフランス国内で圧倒的なシェアを占めていて、市場を切り開いてきたパイオニアとしての自負がある。

セールスの担当者が語ってくれた。「以前、大きな取引先の一つだったスーパーマーケットから、売り場の構成を見直すタイミングで、より手軽なラインナップを試されたことがありました。でも数ヶ月後『やはり御社のチルド白身魚フライのおいしさは代えがたい』『お客さまからの指名買いが多い』と再評価していただき、再び元の規模で扱っていただけることになりました」と。フランス人の舌は正直だ。だからこそ簡便でありながらおいしいというものづくりに一切妥協はできない。

  • 厳選された良質な白身魚だけがここに運ばれてくる。

    厳選された良質な白身魚だけがここに運ばれてくる。

  • 自動化と繊細な手仕事のどちらも大切だ。

    自動化と繊細な手仕事のどちらも大切だ。

  • 白身と衣の比率は研究し尽くしたレシピだ。

    白身と衣の比率は研究し尽くしたレシピだ。

  • 常に食べる人のことを想像しながらつくっている。

    常に食べる人のことを想像しながらつくっている。

フランスの若い人たちに話を聞くと、魚を食べるという選択肢は、身体のためにヘルシーなものを食べたいというニーズや地球環境を考える傾向に応える食品とも捉えられている。おいしいということは当たり前。未来のことを思ってつくらなければこの先も選んでもらえないのだから、ものづくりに妥協などできない。

最初からうまくいかないことの方が
大きな花を咲かせることもある。

お隣の国イギリスの伝統的料理であるフィッシュ&チップス。フランスではなじみの薄かったものだが、シテ・マリン社では2012年にイギリス・ロンドンで開催された国際的なスポーツイベントを機に製造に挑戦してみたという。しかし、はじめからうまくいった訳ではなく、膨大な試行錯誤を繰り返し、ようやく開発担当者も納得の逸品が出来上がったという。その秘伝のレシピは今も引き継がれ、今では同社の売れ筋商品の仲間入りをしている。フランスのレストランでも、当初は馴染みの薄かったフィッシュ&チップスというメニューを普通に見かけるほどになったという。最初からすぐできてしまうものより、苦労したものの方が後に大きな花を咲かせるのかもしれない。

社員の様子
従業員一人ひとりに挑戦する社風が根付いている。

フランスは伝統を大切にする一方で、常に新しいものを創造する柔軟さを持ち合わせている。 同社のラインアップは実に多彩だ。長期保存に適した冷凍商品、手軽さとおいしさを兼ね備えたチルド商品、ホームパーティを彩るタパス商品など。創造的な柔軟さがあるから、フランスの食は世界中の舌を魅了し続けるのだろう。

共感の先に、共創が生まれる。
ここにもグローバルの仲間がいる。

「1990年に創業した時は家族的経営の小さな会社でした。成長していく中で2007年にニッスイと新たな関係性となり、企業としての安定感が加わりました」そう振り返るのはシテ・マリン社のエリック・ル・エナフ社長だ。
世界各地で事業を展開するニッスイグループが集う“ニッスイグローバルリンクス”。シテ・マリン社もその一員だ。そこに加わった意味を語ってくれた。

エリック・ル・エナフ社長
エリック社長の人柄は、ブルターニュの太陽のように大らかで温かい。

「魚のビジネスはとても国際的な事業であり、かつ天候や気候変動に左右されたり、常に安定している訳ではありません。ニッスイグローバルリンクスのトップが集う会議では、魚市場における原材料の調達状況から、人事、運営、戦略的プロジェクトに至るまで、情報やノウハウを共有できる。そのようなビジネス環境はとても重要です」

日本にも何度も訪れているエリック社長。「効率化や自動化されたニッスイの工場を見学しました。互いの違いはありますが、ニッスイは水産業のプロフェッショナルです。私たちのやり方やつくるものをプロの視点で見てくれる。これはとても大きな信頼です」

ニッスイグローバルリンクス
ニッスイグローバルリンクスの根底には、互いを尊重し合い共創する思いが流れている。

エリック社長は、ここブルターニュ出身だという。「私たちブルターニュ生まれのブルトン人は、とても真面目なんです。日本人的な気質と似ているかもしれませんね。シテ・マリン社のスタッフの多くはブルターニュ出身ですよ」
いま、チルドの白身魚フライはフランス全土に広がり、フランスの人たちが大切にしている食文化の一面を支え続けている。

食は心の栄養になり、人生を豊かにしてくれる。フランスの食文化の一面を知るそんな旅となった。世界のGOOD FOODSを探求する旅はまだまだ続く。

※人物の所属および掲載内容は2026年6月取材当時のものです。

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