PERSON

ゴールを見据えて、研究しよう。
目指すは、売れる「メガブランド」。

食品機能科学研究所 機能性素材開発課
内田 Uchida
職  掌: R&D
職  種: 研究
仕事内容: 機能性素材の研究
入  社: 2015年(経験者)

かにフレーク、
V字回復。

「かにフレーク」を食べると、身体の筋肉が増え、瞬発力が上がる。2018年10月。この事実がテレビの、とある情報番組に取り上げられ、驚異的なV字回復を記録しました。当時、販売の市場価値を高めることが叫ばれていた「かにフレーク市場」。その販売数量は昨年比1.5倍に拡大し、当社の売上にも大きく貢献しました。私は当時、話題のもとになった「速筋タンパク(かにフレークの原料)の筋肉増強」を複数の大学との共同研究で実証していました。研究成果をリリースすれば、ある程度の反響は想定していたものの、実際はかなりのインパクトがあり、反響の大きさに驚きました。

この話題から遡ること、3年前。製薬メーカーに勤めていた私は、日本水産に転職しました。自由な風土で研究開発を進めており、これまで私が培ってきたマーケティング思考の素材研究のノウハウを活かせそうだと思い、入社を決めました。

当社で働いてみて感じた印象は、何事も「任せる」環境だということ。配属された食品機能科学研究所は、社外と手を組み研究開発を進めることを特徴とした部署であったため、今まで培ってきた交渉力を使い、スムーズに研究に着手できました。また、研究の企画を軸とした実証研究の流れは、社内であまり経験がなかったようです。しかし、経験者採用で社外から入った人でも、すんなりと受け入れてくれる組織であったことが、早期の成功に結び付いた大きな要因であると思います。

優秀な素材、
速筋タンパク。

入社1年目からスタートしたのは、速筋タンパクの機能性の研究。「速筋タンパク」とは、白身魚のスケソウダラの身(速筋)に含まれるタンパク質を指します。「かにフレーク」は、その身を加工して製造した商品です。この研究は、前任者から引き継いだものでしたが、私が始めた時点でスケソウダラの身が筋肉増強と関係性があることは、動物レベルで効果が確認されていました。そこで、その機能を生活者視点でベネフィットに落とし込む研究企画から、スタートしました。そこで出来たキーワードが、「タンパクブームの到来」と「フレイル(虚弱)」という二つの概念です。

この二つの概念から「速筋タンパク」という原材料を使った製品が生活者に響く可能性を見出し、「フレイル予防(筋肉の減少を防ぐ)」を世の中に広めるには、高齢者の臨床結果がキーになると考えました。そして、3年間の研究計画を立案し、研究チームの再編や有効データの取得を進めていきましたが、計画通りに研究の成功が続き、高齢者での臨床研究で「速筋タンパク」の持つ筋肉増強効果の強さが確認できたことで、当初の目的は達成されました。成功が続く研究は、世の中に存在する機能性素材としては珍しい存在で、高齢者での有用性が確認できた時点で、この素材が必ず話題になる、という自信に変わっていきました。

研究3年目に、充分なエビデンスが整ったことから、研究内容を情報発信するフェーズに切り替えて、学会などで積極的に「速筋タンパク」の有用性を発表しました。また、ニュースリリースによるメディアへのアプローチも開始したことで、社内外で大きく注目されることになりました。

目指すは、売れる
「メガブランド」。

情報発信の効果は徐々に浸透し、健康情報誌への掲載を皮切りに、TVの情報番組などにも数多く取り上げられて、生活者にまで知られるようになりました。面白かったのは、ふと立ち寄った立ち呑み屋で隣になった人が「かにフレークで筋肉が増えるらしいよ!」と話していたこと。私の生活の近いところまで研究結果が広まっていることに驚かされました。またこの研究は、スケソウダラを使用しているすりみ製品であれば、その機能が担保されているので、当社だけでなく、すりみ製品を製造する業界全体の活性化にも大きなインパクトを与えたようです。そのため、私が講演会で伺った土地で、「君のおかげで業界全体が救われたよ」と、業界関係者から感謝される場面もあり、嬉しく思いました。

これまでの研究企画を発展させ、「速筋タンパク」を当社のブランドとして育てることを次の行動計画として、現在展開しています。かにフレーク以外にも、当社にはちくわやフィッシュソーセージなど、スケソウダラのすりみを使用している商品や、ご馳走鱈カツやおさかなミンチなど、業務用でも人気のあるスケソウダラのフィレを使用した商品があることから、それら「速筋タンパクブランド」の価値向上を目指し、広くPR活動を行っています。R&D(リサーチ&ディベロップメント)として直接できることは、情報発信によるスケソウダラとそのブランドの価値向上までです。その活動に連動してくれた当社社員の頑張りで、立ち上がった「速筋タンパクブランド」は、今後、一層の売上拡大を目指しています。当社の「メガブランド」として、生活者に認知していただくことが目標です。

莫大な研究費をかけても日の目を見ないまま消えていく研究が多い中で、「速筋タンパクの機能性」を証明し、ここまでのムーブメントを巻き起こせたのは、運も含め、素材の持つ能力にも感謝するとともに、売れる前から興味を持って機能性の訴求に協力してくれた当社社員のおかげと考えています。「研究をお金に換える」ことは、私にとって重要なテーマとして捉えています。これからも、ゴールを見据えた研究企画から、PRまで戦略を立て、仲間と一緒に邁進し、また新たな素材の研究開発も行いながら、会社にも社会にも貢献していきたいです。

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